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金子みすゞに憑かれて   森田尾山さん

2020年8月20日

 「わたしと小鳥と鈴と みんなちがってみんないい」-南部町の緑水湖畔にある祐生出会いの館で、地元書家・森田尾山さんの書展「金子みすゞに憑(つ)かれて」が開かれています。8月24日まで。
 金子みすゞ(1903~1930年)は、昭和の初めに活躍した童謡詩人です。10代半ばから詩をつくり、512編の詩を残して、26歳で命を絶ちました。代表作は「私と小鳥と鈴と」「大漁」「こだまでしょうか」など。自然とともに生き、小さな命への優しいまなざしが、みすゞの詩の原点といわれています。
 森田さんは15年ほどかけて、みすゞの詩を書き溜めてきました。約70点。そのうち40点を今回発表しました。
 森田さんがみすゞの詩にひかれたのは「ばらの根」という詩です。その一部です。
 「はじめてさいたばらは、あかい大きなばらだ。土のなかで根が思う『うれしいな、うれしいな』」
 花を見れば、咲いている花にだけに目を奪われがちです。しかし、この詩では見えないバラの根っこにも目を向けています。みすゞの見えないものを感じ取り、ものを見る深さに感動したそうです。
 森田さんは言います。「それは他の詩でも同じこと。相手の思いを探り、相手の深い思いに気づくことができる詩ばかりです」。すっかり憑りつかれています。
 森田さんはその詩を書で表現しようと、詩を解釈し、詩に合わせて作品の大きさ、字の書きぶりや体裁、墨の濃さも変えました。無から有を生む作業で、とても大変だったそうです。
 森田さんは「続けることが大切。1つ終えると新たな発見があり、やりたいことも出てくる。失敗を恐れず、挑戦してみなければ、次が浮かばない」と。森田さんの挑戦はこれからも続きます。
 何点か作品を掲載しました。あなたは、この詩から何を受け取り、どう感じますか?

ばらの根 金子みすゞ童謡集 JULA(ジュラ)出版局より

大漁

大漁 金子みすゞ童謡集 JULA(ジュラ)出版局より

わたしと小鳥とすずと 金子みすゞ童謡集 JULA(ジュラ)出版局より

森田尾山さんと金子みすゞ展の図録

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