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文章ある限り            同人誌 米子文学

2019年4月23日

 鳥取県西部の同人誌・米子文学(広沢虔一郎代表、6人)は4月23日、米子市の本の学校で第75号作品の感想などを話し合う会を開きました。一般からの参加もあり、真剣で熱心な意見交換が続きました。
 米子文学は昭和45年の発足、来年50周年になります。近年は年2回、同人誌を発行しており、平成30年春号が第75号になりました。その編集後記で、広沢代表は同人が年々減っていく現状を報告していますが、「お先真っ暗かというと必ずしもそうではない。ニュースやドラマはもちろん、今大流行の漫画本でさえも、みな文章のうえに立脚している。何も大騒ぎすることではない。自分の本当に言いたいことは、文章によらなければ、なかなか表現できないのである」と意気盛んです。
 そこで米子文学はいつも同人を募集中です。小説、詩、エッセイ、評論などを発表したいと考えている人は、事務局(電話090-3889-7324)へと呼び掛けています。
 さて、第75号です。拝藤昇一さんは「米子駅と仲人売店」、広沢代表は「仏教の来た道」、南家久光さんは「石川ヤマト物語5」、高橋亮さんは「澤田家の人びと」の小説を寄せ、山根史郎さんは詩「印象」を発表しています。
 このうち、高橋さんの「澤田家の人びと」は、400字原稿用紙に換算して364枚という大作です。岩美町出身の外交官兄弟、澤田節蔵・廉三とその妻たちの物語です。鳥取県にゆかりある人物の歴史大河ドラマを推進する会が、その候補のひとつにしており、高橋さんも加わる「三愛のクニへ」研究会(片山長生さん主宰)の成果作品です。この大作を高橋さんはわずか5カ月で書き上げ、文献調査を重ねて作品発表しました。
 節蔵・廉三は第一次世界大戦―満州事変―太平洋戦争の激動の時代に生きた外交官で、それぞれ国際政治の最前線で孤立化する日本、戦争へ突き進む日本、日本敗戦の悲劇、困難な国際社会への復帰などを体験し、見届けてきました。廉三の妻・美喜は終戦後、「混血孤児」救済に生涯を捧げました。
 高橋さんはこうした「澤田家の人びと」の活躍を丹念に追い、ドキュメント風にまとめて作品にしました。近現代の世界史・日本史がよくわかり、2022年から高校教育に導入される「歴史総合」の副読本としても活用できそうで、今後の成り行きが注目されます。高橋さんは近く、単行本にして出版したいといいます。
 この「澤田家の人びと」をベースに、片山さんも「三愛クニへ(母子愛・祖国愛・人類愛)」のドラマ化を目指して小説を発表する運びで、歴史大河ドラマ推進に弾みがつきそうです。

高橋亮さん

作品内容について語り合う米子文学同人のみなさん

米子文学第75号

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