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解明進む占領下の鳥取県       小山富見男さんら

2019年3月09日

 鳥取県公文書館と鳥取市歴史博物館は県民参加で「占領期の鳥取を学ぶ会」をつくり、歴史の空白がある太平洋戦争直後の鳥取県の解明を進めていますが、平成30年度の活動報告が3月9日、市歴史博物館であり、1947年(昭和22年)に全国で初めて鳥取市で中学生の模擬選挙が行われたことなどが分かりました。鳥取県社会福祉協議会・とっとりいいきいきシニアバンク「生涯現役」共催。
 「占領期の鳥取を学ぶ会」は平成29年7月に発足。県公文書館が入手した進駐軍の軍政隊レポートをもとに、県内の政治行政・公衆衛生・公共福祉・労働経済・教育などを調べています。レポートは英文で1946年8月~49年11月の3年4カ月分、約700ページに及び、県民がボランティアで翻訳しています。
 事務局によると、平成30年度は10回開き、延べ130人余りで1947年5月~1948年2月の10か月分、約75ページを解読したといいます。
 その主なトピックは、県の水産課長だった西尾愛治さんが初の民選知事になったこと、外地からの引き揚げに伴うヤミ市や列車内のヤミ取引の取り締まり、新制中学の発足と新しい教科書の配布状況、供出米の絶対確保運動、天皇行幸への対応―など。
 そのうち、公民教育の一環として、軍政部の提案で鳥取市で「少年少女週間」(市長・議員の模擬選挙)があり、男女7人の市長候補による街頭演説が実施されたほか、市議36人も選出されたといいます。全国初の試みで、軍政部は高く評価したそうです。また、1947年11月27日の天皇行幸に備えて、奉迎場(公設グラウンド、現在・県立博物館敷地)の清掃活動に鳥取市内の小学生数百人が動員されましたが、軍政部は教育目的以外の児童の利用は不当として中止させたといいます。
 日本海新聞によると、鳥取の天皇行幸では、お召列車が鳥取駅を発車した後、奉迎者が陸橋を一気に駆け下りたため、なだれ事故が発生し、33人の死傷者が出ていますが、事故の再発などが懸念され、1948年中の行幸は中止されたといいます。県史編さん委員の小山富見男さんは「近現代史の研究に新聞は欠かせません。軍政隊レポートと地元紙の併用で、占領期の鳥取を解明しなければ」と話していました。
 活動報告会では神戸大学大学院教授(国際文化学)・長志珠絵さんの「占領期の地域史資料とGHQ」について講演があり、地方を見ている軍政部資料は地域史解明に欠かせないと指摘していました。

 ※写真上:小山富見男さん

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