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スポーツは文化です         油野利博さん

2019年1月14日

 鳥取県体育協会は創立100周年を記念して鳥取市の県立図書館で「陸上競技を読む!」展を開いています。県体協名誉会長の油野利博さんのコレクションで、オリンピックのポスターや陸上競技の関連書籍など約3千点が並び、NHK大河ドラマ「いだてん」のモデル・金栗四三や鳥取県初のマラソン大会などを紹介するコーナーも設けられ、にぎわっています。1月20日まで。
 油野さんは石川県出身。東京教育大(筑波大)卒業後、鳥取大で教壇に立つかたわら、鳥取県陸上競技協会の審判部でスターターなどをしてきました。元鳥取市陸協会長。昨年まで7年間、県体協会長も務めました。学生時代から長距離ランナーとして活躍し、東京教育大では箱根駅伝で最終10区を走りました。
 油野さんは中学時代に読んだ本で陸上競技のとりこになりました。それ以来、半世紀にわたって陸上競技の書籍やプログラム、ポスターなどを集め、その書籍は600冊余りにもなりました。
 油野さんのお宝は、初めてのボーナスをはたいて買った「陸上競技とフットボール」というイギリスの古書(1887年発行)です。また、日本最初の五輪選手・金栗四三(1891~1983年)が1912年のストックホルム五輪に出場した際のパンフレットや1920年のアントワープ五輪でもらった参加証(ディプロマ)もそれぞれ古書店で入手し、本展の金栗コーナーを飾っています。
 日本最初のマラソン大会は1909年(明治42年)の神戸―大阪間20㍄(約32km)レースです。これに智頭町の綾木(旧姓・金子)長之助が参加し、見事優勝を果たし、五輪出場が期待されたものの、なぜか綾木は走ることをやめました。鳥取県で初めてマラソン大会が開かれたのは、その翌年です。因伯時報社が主催し、コースは鳥取―河原間の往復でした。智頭宿の農業、江見治作さんらが活躍したそうです。
 日本最初の駅伝大会は1917年(大正6年)の東京遷都50周年を記念した京都三条大橋―東京上野不忍池間でした。その翌年、日本マラソンの父・金栗らの提唱で箱根駅伝が始まっています。油野さんはマラソンや駅伝の新聞記事をたんねんにスクラップし、わかりやすく紹介しています。
 「鳥取県体育スポーツ文献一覧」も油野さんの労作です。鳥取県ゆかりのスポーツ関連書籍を調べたもので、2100冊をリストアップしています。大学教員時代の調査研究の成果です。県体協(66団体)はこの夏を目途に100年史を出版予定です。
 油野さんは1964年と2020年の東京五輪のポスターを前に、「スポーツの本質は楽しむことと体を鍛え、競うことです。それをかなえるのは人的、社会的基盤、平和であることが何より大切です。スポーツは文化そのものです」と話していました。

 ※写真上:山下佐知子さんがバルセロナ五輪で使用した靴を紹介する油野利博さん

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