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たたらの文化を未来へ     石村隆男さん・伯耆国たたら顕彰会

2018年10月21日

 伯耆国「大山開山1300年祭」のクライマックスイベント「日本の鉄文化・たたらの歴史フォーラム」が10月21日、米子市公会堂であり、とっとりコンベンションビューロー理事長の石村隆男さんや伯耆国たたら顕彰会(田貝英雄会長)のみなさんが、たたら文化の魅力や未来を伝えました。
 中国山地は良質な砂鉄と豊かな森林に恵まれ、たたら製鉄が盛んに行われました。江戸時代には全国の鉄の生産量の約8割を中国地方で占めるほどの一大産地でした。鳥取県は大山を取り巻く奥日野や関金・三朝などがとくに盛んでした。たたら製鉄は大正時代に西洋鉄に押されて姿を消しましたが、その歴史や産業文化は関連の地域にさまざまな足跡を残してきました。そこで、たたら文化を後世に伝えるとともに、地域活性化につなげようと、今回のフォーラムが企画されました。
 全国たたらサミットには、①伯耆国たたら顕彰会(鳥取県)②いわてたたら研究会(岩手県)③鉄の道文化圏推進協議会(島根県)④備中国新見庄たたら伝承会(岡山県)⑤奥安芸の鉄物語たたらの楽校実行委員会(広島県)⑥宍粟鉄を保存する会(兵庫県)―の6団体が参加し、たたら文化の伝承とこれからを報告しました。
 このうち、伯耆国たたら顕彰会の佐々木幸人さんは、鳥取県中・西部のあちこちに、たたら製鉄の遺構や日本刀の始祖とされる伯耆安綱一門の伝承などがあり、これらを結んで観光資源にし、地域活性化につなげたいと抱負を語りました。また、鉄の道文化圏推進協議会は日本遺産に認定された「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語」を題材に、地域住民に鉄文化を根づかせる取り組みを紹介しました。
 日野町の都合山遺跡を発掘した角田徳幸さん(島根県教育庁埋蔵文化財調査センター)と石村隆男理事長による「たたらで日本の歴史をひも解く」トークもありました。このなかで石村さんは、砂鉄を取り出す鉄穴流しで弓ヶ浜半島などの大地がつくられ、農業が発展し、ミネラル豊富な水の供給で美保湾が好漁場になり、鉄を運ぶ牛馬の生産・品種改良で畜産業が発展した歴史を紹介し、「現在の伯耆国があるのは、たたら製鉄のおかげ。“鉄は文明なり“です。この恩恵を地元住民に知ってもらうことが未来につながる」と強調しました。
 フォーラムと並行して、公会堂前庭で伯耆国たたら顕彰会による「ミニたたら操業」が行われ、約50人が高温の炉に炭と砂鉄を流し込むたたら製鉄独特の鉄づくりを体験しました。不純物を取り出す「のろ出し」では、真っ赤な塊が炉から流れ出る様子に、見物者から大きな歓声があがっていました。
 また、フォーラムでは作家の井沢元彦さんと俳優の高橋英樹さんの対談もあり、日本刀の原点である伯耆国の魅力を語り合いました。

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