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2019年12月01日
鳥取県能楽連合会(近藤光会長)は12月1日、鳥取市の市文化ホールで観世・喜多・宝生流合同の能楽祭を開き、日ごろの精進の成果を発表するとともに、ワークショップなどで古典芸能をPRしました。
能楽は今から650年ほど前の室町時代、観阿弥、世阿弥の親子が形づくったとされ、歌曲や舞いや物語性を備えた古典芸能です。5流派があり、県内では観世・喜多・宝生の3流派が盛んです。かつて愛好者は合わせて300人を超えていたそうですが、今では高齢化などで90人になってしまったといいます。
能楽が盛り上がったのは江戸時代です。幕府が能楽を式楽(儀式用音楽)に採用すると、各藩が競って能役者などを抱え、武士のたしなみとして全国に広まっていったといいます。鳥取の初演は東照宮の神事能で、鳥取藩は喜多流を盛んにしました。とくに3代藩主・吉泰は能楽好きで、将軍家の3倍、800面もの能面を集めたというエピソードが伝わっています。
さて、能楽祭です。能面も能装束も資金がかかるので、素顔に羽織はかま、着物姿で進行しました。今年はそれぞれの流派の発表のほか、人気演目の「羽衣」を宝生流が謡、喜多流と観世流が舞いばやしでリレー上演しました。派手さはないものの、3派の結束を示しました。
数年前から人気を集めているのは、「チョットだけ能(の)ワークショップ」です。①謡をうたってみよう②仕舞をまってみよう③鼓をうってみよう④面をつけてみよう―3流派が分担して来場者に体験してもらうコーナーです。能楽を盛んにするには、まず県民に知ってもらうことからというわけです。今年はステージに上がる観客が少なかったものの、すり足での歩き方や面をつけた時の視野などの解説を聞き、観客は能楽の奥深さに驚いていました。
近藤会長は「小学6年生になると、歴史の時間で能楽が登場しますが、子どもたちに生の能楽を教えたいものです。いつでも出前授業をさせていただきます。気軽に声をかけてください」と話していました。ご希望の学校は、シニアバンク「生涯現役」にお問い合わせください。