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2025年10月19日
鳥取で自主上映会を開催しているシネマふねえとる(代表清水増夫さん)主催の上映会が10月19日、鳥取市民会館でありました。
今回の上映作は「あの日のオルガン」。1944年、第二次世界大戦末期の東京。品川の戸越保育園では園児たちの安全を確保するため、保母たちが保育園の疎開を模索していました。ようやく見つかった疎開先は埼玉のボロボロの荒れ寺です。反発する親たちを懸命に説得し、園児53人の集団疎開が実現します。2018年製作のノンフィクション作品です。
荒れ寺には戸もなく修繕が必要だったり、毎日の食材も村に頼るしかありません。母親と離れ寂しい園児たちは毎晩おねしょをします。保母たちはみんなで話し合い一つ一つ解決していきます。東京では空襲が頻繁になり、ついに多くの親がなくなります。亡くなったことを子どもに伝える場面に涙を流している方がたくさんいました。
園長に召集令状が届き疎開保育園を離れることになった際には、精神的な柱がいなくなることに保母たちは悲壮感に包まれます。そしてとうとう疎開先にもB29による空襲が始まりました。「どこにいても一緒、親と子を引き離した疎開保育園は間違いだったのでは」と苦悩する保母たち。戦争によりもたらされた一般市民の格闘が続きました。
終戦を迎え親たちが迎えにきますが、両親がなくなった子どもは親せきに引き取られていきます。戦地に行っている父親の消息はつかめず3か月たったある日、ついに迎えに来ます。これで園児全員が疎開保育園を離れました。残った保母たちは緊張から解放されたのか、後悔なのか泣き崩れます。彼女たちに疎開保育園をやり切った達成感があったのか、語られていません。
疎開保育園で保母と園児を結び楽しませてくれたオルガンが本堂に寂しく残ります。
二時間余りの作品ですが、鑑賞された方々は「戦後80年、戦争の悲惨さを見ると、今の日本は大丈夫なのか心配なことばかり」「普通の保母さんたちの奮闘に拍手を送りたい」「戦争は過去のことだけど、忘れていいのか」など、様々な感想を持たれていました。
次回上映会は12月7日、「リング・ワンダーリング」です。正統派の作品を鳥取の皆さまにご覧いただきたいと活動するシネマふねいとる。最後にチラシを添付しています。多くの方にご覧いただきたい作品です。