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天下一品 佐治漆の艶に注目   漆職人 橋谷田岩男さん

2025年5月04日

 「鳥取県伝統工芸品半世紀展 ようこそ、ようこそ50年、これからも」が4月18日から5月10日まで鳥取県立美術館県民ギャラリーで開催されました。
 今年3月、新たに鳥取県伝統工芸士に認定された漆職人橋谷田岩男さんの作品5点が展示されました。
 秀作展示の部には、刷毛目合鹿椀、根来漆皮角皿、智頭 藍春慶弁当の3点、暮らしの中にある鳥取の伝統工芸品の部には素黒目 珈琲カップソーサー付き、素黒目 弁当の2点です。
 橋谷田さんは地元の素材を漆器に取り入れることを意識して制作されています。智頭 藍春慶弁当は智頭産の杉をちずぶるー(智頭町で藍の種子から育てて作った天然染料、澄んだ藍色が特徴)で染めて塗りあげたもので群青色の深みのある弁当箱に仕上がっています。智頭と佐治、地元の素材で仕上げた逸品です。
 根来漆皮角皿は鹿の皮に布張りして地付け、錆付けをして漆を重ねて塗り、金蒔きを施したものです。害獣の鹿の肉はジビエ料理として活用されていますが、この作品は若桜町で捕獲された鹿の皮を素材として使用しています。
 「鮮やかな朱色は冬、寒い時しかでない。ゆっくりゆっくり乾かしていく」ため、温かいとすぐに乾いてしまい鮮やかの朱色にはならないそうです。「凍えながら制作してる」と言われます。また「漆器には偶然はない」と言われます。黒漆の上に赤漆を塗り重ね制作しますが、「研ぎ出し」は計算しつくした美だということです。根来漆皮角皿の製作は橋谷田さんにとっては挑戦でした。初めての素材でデザインや制作工程の研究に半年間、制作期間に半年間を要したそうです。
 江戸、明治時代には「天下一品」と評価された佐治漆は昭和40年代初めに途絶えてしまいましたが、2016年に「佐治漆研究会(会長谷口輝夫)」を設立し復興に取り組んでいます。千本を目標に漆木の植林を進めているほか、漆塗りの体験教室の開催や漆を使った韓国の薬膳スープ「漆鶏(オッタク)」の試食会などを展開しています。
 現在制作されている漆器には佐治に残る数少ない漆木から採った漆を使っています。漆木の植林後10年目ぐらいから漆が取れるそうで、7年目に入った漆木もあるそうです。将来は鳥取県の素材で、佐治産の漆を使った漆器を産業として復活することを目標にしています。
 

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