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2024年12月15日
鳥取で自主上映会を開催しているシネマふねえとる(代表清水増夫さん)主催の上映会が12月15日、鳥取県立博物館講堂でありました。
今回の上映作は「世界でいちばん美しい村」、2015年4月、ネパール大地震に襲われたある家族を追ったドキュメンタリー映画、写真家石川梵氏の初監督作品です。個人製作にかかわらず東劇で公開、口コミで評判を呼び、その後、新宿ピカデリーをはじめ全国38館で公開された作品だけあって、ヒマラヤを背景とした映像美と人物を捕らえるカメラワークには圧倒的な迫力を感じました。
物語は断崖絶壁にあるヒマラヤハチの巣から蜂蜜を取る映像から始まります。千年続く彼らの生業は命を懸けた仕事ですが「神に祈れば蜂に刺されることも滑落することもない」といいます。神への崇拝と祭事等が彼らの精神に浸透された人生が作品を貫くテーマです。
山肌にへばり着くように形成されたラプラッツ村はネパール大地震により家屋は全壊しますが村を愛する人たちは協力して復興に取り組みます。作品の中心人物はボラムキャ一家、次男アシュバドルと石川梵氏の偶然の出会いがきっかけでこの映画を撮ることになりました。父親は水牛の放牧をし収入を得ていますが家にいることは希な生活をしています。それでも「出稼ぎよりは家族と一緒にいることができる」と言います。放牧中の父親が近くに来ているとわかると家族全員で会いに行き、歌い、踊り、喜びを分かち合います。
地震で友だちを亡くした5歳の娘プナムの表情、4000人の村人を一人で看る看護師の女性、ボン教の葬儀で夫を亡くした妻に寄り添う村人、震災1年後に復活した村祭りでのはち切れんばかりの笑顔など、至近距離で撮影された村人の表情は通常の報道では現わされないものです。
「私は日本や自分のことと比較して幸せかどうかを判断していたが、この映画を見て無意味だったと思った。ラプラッツの人たちは幸せだ」と鑑賞された方が述べていました。
悲惨で絶望的に見えたこの村が、実は桃源郷「世界でいちばん美しい村」であったことに石川梵監督は気づいたと言います。