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とっとりいきいきシニアバンク生涯現役まつり開催   ③歴史大河ドラマ候補選考会

2023年9月17日

 とっとりいきいきシニアバンク生涯現役まつりと共催で、歴史大河ドラマ候補選考会を開催しました。
 今回の3候補は、「戦国に信義を貫いた武士横田内膳」発表者は妙興寺住職酒井英孝さん、「里見忠義公がつなぐ縁」発表者は倉吉せきがね里見まつり実施委員会委員長影山卓司さん、「岩美町が生んだ唱歌の父田村虎蔵」発表者は岸本みゆうさんです。
 米子城執政家老横田内膳村詮(むらあき)の生涯は不明な点が多く、阿波国三好氏一族の家に生まれたとされています。豊臣秀吉から岸和田城主に任じられた中村一氏に召し抱えられ、一氏は村詮の意見を聞き入れ徳川家康と会談し東軍徳川方に加わることを決め、功労により一氏の嫡男忠一は米子城主に任ぜられ村詮は執政家老となりました。
 村詮は伯耆領内の検地のほか、城下町建設のため藩内各地から民衆を集落ごと移住させ米子十八町と云われる職業別、集落別の居住地を構築しました。また、加茂川を米子城の外堀にする一方で運河として造成し、四方の街道を職人町商人町を通じて中海に繋げ、物資の大量輸送を実現するなど現在の米子市の礎を築きました。
 しかし、あまりにも優れた才覚を妬まれ殺害さ、執政家老の職にあったのはわずか4年ほどでした。米子市妙興寺に葬られ、村詮拝領の鳳凰絵盃、画像、位牌が現存します。
 里見忠義とその家臣八賢士は滝沢馬琴による長編小説「南総里見八犬伝」のモデルと言われています。忠義は江戸時代の初期、安房国館山藩主を務めた大名でしたが、失脚した大久保忠隣の孫娘を正室に迎えていたため伯耆国倉吉に配流されました。若くして亡くなった忠義は倉吉市関金町では昔から「アワノカミサマ」と親しまれており、様々な逸話が残っています。
 発表した影山卓司さんは「倉吉せきがね里見まつり」の実施委員会委員長を平成24年から務めています。このまつりは、昭和61年に忠義公の眠る地関金町山守地区住民が発起したのがはじまりで、今年で36回目の開催です。本年9月3日のまつりでは、倉吉里見時代行列、倉吉八犬伝出演声優トークショー・朗読劇、打吹童子ばやし等のステージイベント、忠義公の菩提寺である大岳院での法要、このまつりの主役となった関金子供歌舞伎など盛大に繰り広げられました。
 唱歌の父田村虎蔵は今年が生誕150年、鳥取県岩美町の生まれです。発表者は同郷のオカリナ奏者岸本みゆうさんです。愛着を込め「虎蔵さん」と呼ばれているそうです。虎蔵の曲は、花咲爺、大黒様、金太郎、一寸法師など多数。幼いころに聞いた唱歌はいつまでも心に残り歌えるものです。これは虎蔵さんらが精力を注いだ「言文一致唱歌」活動の成果です。
 虎蔵さんは岩美町馬場の農家に生まれ、理解ある母の存在が幸いし中学校、尋常師範学校に進学します。そんな虎蔵さんは八頭町出身の村岡範為馳と運命の出会いをします。ドイツで物理学を学んだ村岡は日本には音楽教育が必要と東京音楽大学(現在の東京芸術大学音楽部)の校長となり鳥取で講演をしました。感銘を受けた虎蔵さんは「自分も東京に行き、教育者になりたい」と村岡を慕い東京音楽大学に入学します。
 そこで作詞家の石原和三郎らと知り合い言文一致唱歌を提唱し、生涯音楽教育に身を捧げました。学校で教える歌は軍歌等のほかには外国から輸入された音楽に文語調の難解な歌詞がつけられて歌われていました。当時、言文一致唱歌は品がないとずいぶん叩かれたそうですが、「虎蔵さんは、何より、子どもたちに楽しく音楽と接してほしい。その音楽が子どもたちの心を支え、人との心のつながりを支える」と信念を曲げなかったと岸本みゆうさんは話されました。オカリナを演奏しながらの楽しい講演でした。
 このあと「鳥取県を舞台に!歴史大河ドラマを推進する会」共同代表の田村精夫、内田克彦さんらから新たな候補作の発表がり「横田内膳」が今回の候補作に決定しました。これまでの候補を含めどれも歴史大河ドラマになりうる人間模様、郷土の誇る物語です。いつの日か大河ドラマとなることを願っています。
 これまでの候補作のなかから、碧川かた研究会の四井幸子さんが「赤とんぼの母碧川かた」と題しお話されました。碧川かたは赤とんぼを作詞した三木露風の母ですが、禁酒運動や参政権運動にも取り組みました。その功績は昨年出版された「前進 決定版 碧川かたの生涯(小取舎)」に詳しく記されています。
 また、特別講演「山陰鉄道と鉄道唱歌」をテーマに鳥取地域史研究会会長小山富見男さんが講演され、鳥取の鉄道120年史や田村虎蔵作曲の山陰鉄道唱歌や汽車旅行山陰唱歌などを紹介されました。当時の出版物や新聞記事などを細部に調査され、まとめられた史実は聞きごたえのある講演でした。
 写真の説明:順に酒井英孝さん、影山卓司さん、岸本みゆうさん、四井幸子さん、小山富見男さんです。

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