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看取り三様   里山元気塾塾長 小谷博徳さん

2023年6月16日

 第2回日野町おしどり学園が6月16日、鳥取県日野町公民館であり小谷博徳さんが自ら経験した3人の看取りに関して講演しました。
 突然、大阪堺医療刑務所から電話があり10年の刑を終える余命3カ月の受刑者の身元引受人になります。全く関りのない人の身元引受人となった小谷さんは「極悪非道な罪人でも死と向き合った心は純真善良になる」ことを体験します。身内からは見放され、入院を引き受ける病院も決まらない者が、社会貢献のため献体を決意する経験を話しました。
 小谷さんの継母は大百姓・大家族の家に嫁ぎますが女性民生委員、保護司として活動する気丈な方で「寝たきりになったら施設に入れて」が口癖でした。ところが足腰が弱り紙おむつを嫌がる母は失禁を繰り返します。施設に入るとも言いません。訳あり小谷さんが寝たきりの母を自宅で面倒を見ることになります。ある日、母の指先が白くなっているのに気付いた小谷さんは死期が迫っていることを感じます。「私が抱いて天国に旅たつ」までの長い葛藤を語りました。
 大正6年生まれの父は「激戦地で荒野に放置した戦友の話しをいつも口にし」「現代医学にかからず、延命処置もせずに自然に息を引き取ることが戦友にささげる唯一の自分流の懺悔」と言う日本男児でした。断食のような生活の父は「ミイラのようになった」といいますが、死の前日「いろいろありがとう。明日はないから」と死期を悟った父は、翌日に仏間で先祖を眺め一筋の涙を流します。医師に「おそらく戦争や戦友の話しであったと思うが」ひとしきり話し息を引き取ります。「入院していれば延命しただろうが、おそらく父は戦友を思い毎日泣いていただろう」と話します。
 「人生はYの字、イエスかノーか。右に行くか左にいくか、行うか行わないか」だ。「私は常に『イエス』を辿り、そこにドラマが生まれた。みなさんにはプラス思考で人生を全うしていただきたい」と締めくくりました。
 小谷さんのお話を聞くために米子から駆け付けた方々を含み30人余りの人は介護や看取りについて深く深く考えさせられた講座でした。

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