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日本を代表する漆(うるし)産地だった鳥取市佐治町   佐治漆研究会 橋谷田岩男さん

2022年7月27日

 7月27日、鳥取市佐治総合支所等において、佐治漆研究会橋谷田岩男さんを講師に漆講座と漆の森の見学会が開催され、鳥取西高等学校の生徒6名が漆の歴史とこれからの展開について学習しました。
 みなさんは鳥取市佐治町が日本を代表する漆の産地だったことを御存じでしょうか。漆木の栽培には日当たり、豊富な水、肥沃な土地が必要ですが、佐治川南岸はこの条件を満たしています。江戸時代に吉野(奈良県)より播種、植栽、漆掻き、管理などの技術を伝授し、鳥取藩は貴重な財源となる産業に育成するために保護奨励、幕末の記録には漆液約1100kg、5100本とあります。
 鳥取藩で使われる漆器や木蝋の原料だけでなく、漆液は丹波地方や京都方面に送られ日本の伝統工芸をささえてきました。ところが明治以降は漆産業を奨励・発展させる政策がとられず、昭和40年代初期には完全に消滅してしまいました。
 今、漆産業を再興する取り組みが進められています。2016年に佐治漆研究会が立ち上がり、漆の栽培技術や漆掻きの技法を受け継ぎ、特産品づくりを目指しています。
 2017年には漆の植栽を開始し昨年「佐治漆の森」に200本を植栽しました。現在、鹿の食害に苦悩していますが、今後佐治漆の森の拡張や廃業する梨園への植栽を進め1000本に増やすことを取り組んでいます。このほか、佐治和紙と佐治漆のコラボ体験教室を小中学校で開催し地元の人たちにも佐治漆は認識されつつあります。
 また、佐治漆は昔から「天下一品、優れた品質の漆」と評価されていましたが、科学的根拠がありませんでした。このため、2016年から佐治漆DNAゲノム解析をはじめ、2021年にはサンプル5種類を解析した結果、佐治独自の固有の漆木が植生していることが確認できました。成分分析においてはウルシオールの含有量が78.5%あることも確認され昔からの評価が裏付けられました。
 佐治総合支所での講義のあと「佐治漆の森」に移動し、佐治漆研究会谷口輝男さんから研究会が行う漆木植栽の手法や漆掻き道具の説明を伺い理解を深めました。
 生徒からは「取り組みを進めるための人材確保は、漆木自体の活用方法はないか、ブランド化の方策は」など熱心に質問があり、若い世代も加わり佐治漆の将来を考える良い機会となりました。
 *写真は、佐治漆研究会橋谷田岩男さん(左)と谷口輝男さん、佐治漆の森、漆掻きの道具等

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