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昆虫採取から鳥取を見る、世界を見る   田村昭夫さん

2021年12月20日

 第15回鳥取県ジュニア郷土研究大会が、12月17日とりぎん文化会館で開催され、ふるさと「とっとり」講師、倉吉日本語教室コーディネーター、鳥取県昆虫同好会会長と多方面で活躍していらっしゃる田村昭夫さんの特別講演「鳥取県は昆虫の南北の交差点」がありました。
県内を中心に昆虫採集を行いながら県外や海外にも出かけており、調査の成果は鳥取県昆虫同好会誌「ゆらぎあ」に発表しています。昆虫採集歴は60年ということです。 そして、高校生のときに出会った本格的な論文「海をわたる蝶 日浦勇著」で「生物地理」という考え方を知り、科学的にチョウを見ようと思い始めたそうです。
 チョウは国内の限られた地域に生息する種、国内を移動する種、海外から飛来する種と様々です。国内で採取した種が海外からの飛来種とわかると、田村さんは採取にでかけます。これまで東アジア、東南アジアを中心に中国、モンゴル、ロシア等を含め10か国を訪れたといいます。
 チョウをはじめとする昆虫の生息地域や日本での発見時期等から地球の歴史や経済活動等も読み取れると田村さんは話します。たとえば、鳥取に生息するハナタカバチとそっくりなハチが大陸でも生息しており、昔一つの大陸だった時代に生まれそれぞれ進化したが共通の特徴がまだ残っているといいます。
 気象データの旧平均値(1981-2010)と新平均値(1981-2020)を比較すると平均気温、最高気温、降雪量ともに上昇しており国内の昆虫分布も変化しているそうです。
 また、物流システムの発達により北米カナダから輸入された材木に紛れてマツヘリカメムシが秋田県等で繁殖しはじめていることや、別のルートで入ってきたマダラカメムシは従来種のクサギカメムシと共存しており県内でも確認できます。
 日本は昆虫文化が盛んで万葉集や平安文学に昆虫が登場したり、コオロギやキリギリスの鳴き声を競ったりと生活の中で虫の声を楽しんできました。
 田村さんは「鳥取県は自然が豊かで昆虫はたくさんいるが、採取する人が少ない」「昆虫を知ることで鳥取のことが分かる」と話します。昆虫から世の中の変化が分かる、鳥取のことが分かる興味深いお話でした。

田村昭夫さん(R2.8.11撮影)

田村昭夫さん

会場の様子

6か国のチョウ 日本はどれかな?

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