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大山を歩いてみよう  矢田貝繁明さん

2020年8月05日

 大山町の大山寺参道入り口にある鳥取県立大山自然歴史館で、8月30日まで夏の企画展「大山の森と樹木」が開かれています。これにちなんで5日は、館長の矢田貝繁明さんがガイドする大山の森観察会があり、夏休み中の親子など約20人が森の恵みを学びました。
 大山(1729m)は1936年(昭和11年)に日本海側で最初の国立公園になりました。景観が優れた独立峰で、長く神の山として入山規制されてきたこともあって、生物や昆虫や野鳥の宝庫です。ダイセンの名を冠する珍しい動植物も多く、山頂近くには特別天然記念物のダイセンキャラボクの群落があります。
 大山の自慢は西日本最大級のブナ林です。大山寺周辺から標高1400mにかけて広がっています。ブナは葉っぱが多く、水をたっぷり含んでいるのが特徴です。周囲2mのブナで、年間8tくらいの保水力があるといわれています。そんなブナが大山には無数にあります。ただ、根が浅いので強風に弱く、根倒しになることがしばしばですが、キノコや昆虫などに分解され、土に返ります。この繰り返しがブナ林を再生し、大山の豊かな自然を伝えてきました。
 ブナ林にとどまらず、「大山の森と樹木」展は大山の四季を彩る落葉樹、広葉樹、カラマツ林、ヒメコマツ林や桜、キャラボクなどをパネルで紹介しています。大山の登山や散策に役立ててもらおうというのが願いです。
 そのフィールドワークが矢田貝館長と巡る観察会です。僧兵コースの一部、大山寺参道―夏山登山道―利生水―南光河原―大山寺のおよそ2kmを3時間かけてゆっくり回りました。回る先々には多彩な木々や草花があふれ、矢田貝館長の名調子が続きました。
 夏山登山道で幹や枝が折れにくいチャボガヤを見つけると、矢田貝館長は「昔は牛の鼻輪にしたり、加工してアユつりのタモなどに使いました」と実演付きで説明していました。また、博労座そばの赤茶けたコナラを指さしながら、「カシノナガキクイムシという小さな甲虫が木の中に入り、それについている菌が木の水脈をふさいでナラ類を枯らしています。県東部で始まり、いま大山周辺がピークです。心配しています」と「ナラ枯れ」の現状を紹介しました。道路沿いのあちこちの木には、小さなカップをいくつも連ねた「カシナガトラップ」がくくりつけられ、捕獲作戦が進行中です。
 大山の森観察会に参加したみなさんは、森はきれいな空気をつくり、水源かん養や土石の流出などを防ぎ、人々の憩いの場になっていることを学びました。大山自然歴史館では「暑い夏を避けて、涼しい大山を歩いてみませんか。いろんな発見があります」と大山散歩を呼びかけています。

矢田貝繁明さん

大山の魅力をガイドする矢田貝さん

ブナの森を歩く

鳥取県のナラ枯れ被害状況(鳥取県調べ)

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