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岩美は見どころいっぱい     いわみガイドクラブ

2019年6月29日

 岩美町観光協会は6月29日、岩美町の岩美鉱山と岩井温泉で山陰海岸ジオパークのガイド養成講座を開き、いわみガイドクラブ(油浅郁夫代表)が受講生を案内しました。山陰海岸ジオパークには「浦富海岸」などの海辺ばかりではなく、山間部も含まれており、その魅力の多さを学びました。
 山陰海岸が世界ジオパークになったのは2010年(平成22年)。それ以来、ガイド養成が続いています。講座はジオパークの概要、マナー接遇、救急救命、現地研修などが4日間あり、すべて受講すれば、ジオパーク推進協議会からガイドとして認定されます。今年は10人が受講しています。
 いわみガイドクラブは山辺の現地研修を担当し、油浅代表と片村文系さんの2人が「岩美鉱山と岩井温泉の歴史・文化」をガイドしました。
 岩美(荒金)鉱山は1889年(明治22年)に発見され、銅山開発が進みました。大正時代の機械化や岩井軌道の敷設で大いに栄えましたが、戦時中の1943年(昭和18年)の鳥取大震災で、鉱山労働者や荒金住民の65人が犠牲となり、品質低下したこともあって、1971年(昭和46年)に閉山しました。震災犠牲者のうち、朝鮮労働者など20人余りが埋もれたままで、現地には供養塔が設けられています。
 廃鉱になった岩美鉱山では酸性水や重金属の鉱害を防ぐため、鳥取県と岩美町鉱害防止協会で抗廃水の中和処理事業が続いており、いまでは小田川にサケが戻ってくるまでになったといいます。
 続日本記には「文武天皇2年(698年)因幡国より銅鉱献ず」とあり、岩美鉱山は日本最古の銅山のひとつとされています。近くの法正寺村や銀山村からも後世、金銀銅が採掘されています。荒金の行者山は因幡を代表する山岳信仰遺跡になっており、修験者が銅山を見出したのかもしれません。
 ロマンをかき立てるのは、岩井温泉はずれにある岩井廃寺跡の「鬼の椀」です(国の史跡)。長径約3.6m、短径約2.3m、厚さ1m余りの巨石で、中央には大きな穴がうがたれ、白鳳期の三重塔の心礎だったとみられています。山陰最古の岩井温泉は開湯1200年とされていますが、白鳳期に温泉が開かれていたとすれば、その歴史は1300年前にさかのぼります。ちょうど修験者が銅山を見つけたころです。鉱山ブームで沸いていたのかもしれません。
 油浅代表は「岩美鉱山や岩井温泉は山ひとつ隔てて隣り合わせ。熱水鉱床のおかげで金銀銅や温泉に恵まれました。岩井温泉界隈はどこを掘っても、いまでも温泉が出てきます」と説明していました。熱水鉱床は地下の割れ目に熱水が入り、その熱水中に溶け込んださまざまな成分が沈澱してできた鉱脈鉱床です。まさにジオからの贈り物です。

元岩井小学校をガイドする油浅代表(中央)

岩井廃寺の塔礎石「鬼の椀」見学

岩井温泉基因絵図(東源寺)

岩美鉱山の全盛期

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