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いや重(し)け吉事(よごと)         澤田勝さん・北尾勲さん・田中道治さんなど

2019年2月03日

 「新(あらた)しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)」―奈良時代の因幡国司・大伴家持が因幡の旧正月に詠んだ祝い歌です。万葉集の最後を飾る歌にもなっています。その家持の生誕1300年を祝って、鳥取市の因幡万葉歴史館で記念事業が続いていますが、旧正月に近い2月3日に万葉茶会があり、大勢のファンでにぎわいました。
 茶会はボランティアグループ・吉事の会(井上好子代表、11人)が運営し、和やかな会場で万葉講座や短歌づくり講座、サックス演奏がありました。
 サックス演奏は澤田勝さん(アールファイブ)。万葉集朗唱の会の田中道治会長のリードで家持の祝い歌斉唱。お茶席のお客さまも一緒になって「いやしけよごと」と声を張り上げ、オープニング。澤田さんお得意の演歌や歌謡曲が続き、「ふるさと」の斉唱で締めました。
 万葉講座のテーマは「古代道路と家持、万葉歌」。同館学芸員の鎌沢圭伸さんが青谷上寺地遺跡やその近くの青谷横木遺跡から出土した古代道路(奈良時代~平安時代)について、「家持も通ったであろう道路には柳の街路樹が植えられていました。全国で初めての発見です」と報告。家持が越中国司時代に詠んだ「春の日に張れる柳を取り持ちて見れば都の大道し思ほゆ」(万葉集巻19-4142)を紹介するとともに、「家持ゆかりの物証が新たに見つかり、古代史や和歌のファンに注目されています」と、こんごの観光客誘致に期待を寄せていました。
 因幡の古代山陰道のルートには不明なところが多いといいます。青谷で見つかった道路は気多郡衙から伯耆国に至る一部と考えられていますが、因幡国庁と但馬国をつなぐ道路は十王峠・雨滝越えか海側か、いまだに謎とされています。因幡の古代史研究の課題です。
 短歌づくり講座は家持大賞審査員の北尾勲さん(鳥取県歌人会顧問)が講師です。10人余りが参加して、お茶会や家持を題材に歌づくりに挑戦しました。
 「万葉に思いめぐらすお茶会にサックスの友の人生想う」(大原勇さん)、「遠き日に国庁跡を散策す条理制を説く師の声若し」(横山綾子さん)、「お茶会に出されし菓子が春を呼ぶ雨降る中を万葉の庭」(斎藤邦子さん)―などの秀歌ができました。
 北尾さんは「折を見て言葉を選び直したり、付け加えたりすると、好みの歌になります。歌づくりが楽しくなります。がんばってください」と励ましていました。

 ※写真上:澤田さんの演奏で「ふるさと」を歌う吉事の会のみなさん

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