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ためになる調理実習いかが?       鍛治木いつ子さん

2018年9月19日

 交通事故を克服して調理講師に復活されたご婦人がいらっしゃいます。東伯郡琴浦町の食文化研究家・鍛治木いつ子さん。長く鳥取県栄養士会長を務め、米粉食品普及などに努めた人で、鳥取県労働局の高齢者スキルアップ・就職促進事業で調理補助の人づくりに励んでいます。9月19日、鳥取市の講習現場にうかがい、生涯現役ぶりを拝見しました。
 鍛治木さんは昨年1月、交通事故で足に大けがを負って車いす生活となり、夏ごろになってツエを頼りに外出できるまでになりました。まだ、痛みは残るものの、鳥取労働局の「パソコンも学べる調理補助講習」(日建学院運営)の講師を引き受け、8月から12月まで5カ月間(1会場6日間)、合わせて30日間の調理実習を担当しています。
 鍛治木さんの講座は本格的です。衛生管理、栄養の基礎、食事のバランスと減塩、食の安全―などの座学に加えて調理実習があります。実習でつくる料理は鍛治木さんが長年にわたって自ら開発した「カネ、ひまかけず、(食材の)ムダない」料理と鳥取県伝来の料理。参加したみなさんは「初めてつくるものばかり」で、驚きの連続です。
 これまでに県中部に伝わる「請茶(うけぢゃ)」もありました。もち米、水、炒(い)った黒大豆、梅干し、砂糖で炊いたお茶請け料理で、黒豆と梅干しでできる赤色(アントシアニン)の団子でお客さまを囲炉裏(いろり)端でもてなすそうです。いまでは囲炉裏が消え、作る人もいませんが、鍛治木さんは「朝鮮半島から伝わった由緒ある、体にも良い料理は残さなければ」とがんばります。
 この日作った料理は①いただき②かぼちゃサラダ③煮なます④フルーツ・ヨーグルト⑤砂丘焼き―の5品。いただきは弓ヶ浜半島の郷土食です。三角油揚げに米とニンジン、ゴボウ、シイタケなどを詰め込んで炊き上げたもので、ところによっては「ののこ飯」ともいいます。鍛治木さんは「いただきは形が大山に似ているから。あるいは手間ひま掛かる料理なので、いただけば、ただただ感謝です」など、名前の由来を解説しながら作り方を指導しました。砂丘焼きは米粉、長いも、砂糖などでつくるもので、干し柿、ブドウ、アーモンドなどをトッピングすると、楽しいクッキーになりそうです。
 鍛治木さんは「調理講習で多忙ですが、合間を縫って薬膳や野草や一汁一菜をテーマにした本を書き残したい」と、なお意欲的です。
 鳥取労働局の「パソコンも学べる調理補助講習」は参加無料、材料代不要。お問い合わせは日建学院鳥取校へ(電話0857‐27‐1987)。

 ※写真上:鍛治木いつ子さん

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