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ふるさと博士、妖怪を語る           濱田英一さん

2018年9月14日

 鳥取市の高齢者大学「尚徳大学」は9月14日、市文化センターで郷土コースを開き、「とっとりジゲ自慢101選」などふるさとシリーズ本で知られる濱田英一さん(鳥取県地域社会研究会顧問)から鳥取県内に伝わる妖怪について話を聞きました。100人余りが聴講しました。
 濱田さんは元高校社会科(地理)の教師。「ふるさと鳥取の横顔」「ふるさと鳥取を読む」「ふるさと鳥取の暮らし」などを書いた〝ふるさと博士〟。平成14年から尚徳大学の講師も務め、ことし米寿を迎えました。新聞の読者欄に毎月投稿を欠かさず、「元気の秘訣は文章を書くこと」だそうです。
 この日の講座のテーマは妖怪。濱田さんによると、妖怪と幽霊の違いは、妖怪は相手を選ばず、出るところが決まっているものの、幽霊は恨みのある人にだけ出るそうで、妖怪は夕暮れどきや夜明け、幽霊は真夜中や夢の中が多いといいます。
 全国妖怪事典によると、日本の妖怪は740ほどいるそうで、妖怪漫画家の故・水木しげるさんは千くらいいると語していたそうです。鳥取県には音の妖怪(小豆洗い、茶釜下ろし、呼ぶ子)▽動物の妖怪(慶蔵坊狐、つき蛇、槌転び、がま、牛鬼)▽雪の妖怪(雪女)▽水の妖怪(河童)―などがいて、全国で一時ブームになった槌転び(ツチノコ)は三朝町小鹿、関金町犬挟、鹿野町河内などに伝わっています。
 濱田さんは牛鬼(ぎゅうき)伝説について研究成果を報告しました。牛と鬼の体を持ち、老人や子供を食い殺すという狂暴な妖怪で、福井・滋賀・鳥取・岡山・高知など稲作が盛んな西日本を中心に14県に伝わっているといいます。川の渕や海辺に現れることが多く、岡山県の牛窓町、山口県の牛島、鳥取県では気高町姫路、日南町福栄などがゆかりの地だそうです。
 濱田さんは「牛は農家にとって家族同様に大切な家畜なので、大切に育てられなかった牛は牛鬼に化けて田畑や人畜に災いをもたらすと言い伝えたのではないか。子どもたちにも山や海、川など危険なところへの出歩きを戒めたものではない」かと考えています。
 人助けの牛鬼もいます。愛媛県宇和島では魔物を追い払う聖獣とされています。毎年7月22~24日の和霊大祭には赤布やシュロで覆われた大きな牛鬼が登場し、商店街を練り歩きます。この牛鬼に頭をかんでもらうと賢くなるといわれ、祭りの主役です。2003年からは倉吉市の打吹まつりにも招かれ、倉吉の白い牛鬼と交流が続いています。
 濱田さんは「かつてはタヌキが蒸気機関車に化け、電化になって消えました。口裂け女は岐阜県で発祥し、全国に広まりました。妖怪は世に連れ、時代に連れて出てきます」と解説していました。

 ※写真上:濱田英一さん

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