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2024年7月27日
漆産業の再興に取り組む佐治漆研究会(会長谷口輝男さん)主催のイベントが7月27日、鳥取市佐治町でありました。
かつて佐治は日本を代表する漆の産地で、鳥取藩は貴重な財源となる産業に育成するために保護奨励し、幕末の記録には漆液約1100㎏を生産していたそうです。ところが明治以降は漆産業を奨励・発展させる政策がとられず、昭和40年代初期には完全に消滅してしまいました。佐治漆研究会は2016年に設立され、漆の森も造成・拡大、栽培技術や漆掻き技法の継承、特産品づくりを目指しています。
今回の行事は「佐治漆の森を作ろう~佐治漆掻き・漆塗り体験~」です。佐治地区保健センターに集まった一般参加者31名は漆塗り体験として漆箸づくりに挑戦しました。二度塗りしてある箸に小ぶりのポンポン(てるてる坊主の形)で漆液を伸ばし、布できれいに拭き取ります。乾燥させるために時間をおき、各々お気に入りのイニシャル等を漆で書き、仕上げに金粉をふります。指導は研究会橋谷田岩男さん、漆工房「會州堂」を営まれる専門家です。橋谷田さんには金継ぎの実演もしていただき、参加者は興味深そうに見入っていました。
みなさんはできあがった箸をうれしそうに持ち帰りましたが、「漆に被れるので完全に乾燥させるために10日間は触らない、使わないこと」と説明され、漆の威力にびっくりしていました。
次は漆掻きの見学・実演のため、佐治町津野の樹齢30年の漆木に向かいました。指導は谷口会長で、昭和40年頃に使用していた道具で実演されました。現在漆の森作りに取り組んでいますが、まだまだ漆を取るまでには成長していません。このため、町内に残る漆木での体験になりました。外樹皮をカマで削り、木に傷をカンナで付け、にじみ出た漆をヘラで掻き取ります。貴重な体験に「わくわくした」そうです。
お昼は韓国の薬膳スープ「漆鶏(オッタク)」の試食です。佐治の漆木の枝や葉を乾燥させて煮込んだ汁に鶏、ネギ、生姜、人参などの具材を入れたスープは濃厚で、滋養強壮効果は抜群、お代りをしていただきました。
このほか、佐治を研究する鳥取環境大学の学生の皆さんの発表があり、佐治漆を発展させるための方策等の提案がありました。何度も佐治を訪れ研究している学生さんは、佐治にとって心強い存在です。
「漆といえば佐治」を願い、佐治漆研究会の取組は続きます。