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2021年2月14日
鳥取市の因幡万葉歴史館で2月14日、旧正月を祝って万葉茶会があり、参加者は筝の生演奏を聴きながらお抹茶をいただくとともに、短歌教室で新年を寿ぎました。
箏を演奏したのは、菊弘瀬恭子さん(箏てまり会)と西尾柚美さん(ぐるーぷ絲音)の2人。新春にふさわしく「六段の調べ」「花いかだ」「まりと殿様」など6曲をメドレーでかなで、そのなかで参加者は吉事の会(井上好子代表)が立てたお抹茶を地元の銘菓とともにおいしくいただきました。
短歌教室もありました。参加したのは小学生から70代まで。講師は鳥取県歌人会顧問の北尾勲さん。北尾さんは大伴家持が新年に因幡国庁で詠んだ「新(あらた)しき年の初めの初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)」を紹介し、これに触発されて詠った自作の歌、「家持が因幡に居りし世を隔てわれら聞くなり用水路の音」など3首を披露しました。
これをヒントに歌づくりです。北尾さんによると、作歌のポイントは①その場に立って即詠する②歌のどこかに思いをこめる③律動(リズム)を考える―の3つ。その結果、鳥取市のご婦人とお孫さんの2人連れから、こんな秀作が誕生しました。
「ライオンに似て非なる髪ゆれにゆれ大坂なおみまた一つ勝つ」(房安栄子さん)「晴ればれと久松山を登りゆくまつぼっくりを拾いながらに」(松本眞子さん)
近ごろ若い人の間に短歌文化が広がっているといいます。短歌は五七五七七の31文字。つぶやきのように、短い文章で気持ちを表現するSNS世代には、相通じるのかもしれません。コロナ禍で在宅時間が増えたことも、それに拍車をかけているようです。
北尾さんは「自分の日記は人に読んでもらうことはできませんが、短歌にすれば、日ごろ思っていることを披露できます。よいこと、悪いこと何でも。そこに客観性が生まれ、自分を見つめ直すこともできます。ぜひ短歌を楽しみ、続けてください」と、参加者を励ましていました。