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2020年9月16日
近代稲作の父・中井太一郎の顕彰運動を続けている倉吉市の小鴨地区振興協議会は、その運動内容をまとめた冊子「太一車」を発行し、9月16日から販売を始めました。冊子は太一郎の功績が分かるとともに、地域おこし運動のアイデアにあふれ、評判になっています。
中井太一郎(1830~1913年)は小鴨地区の出身で、江戸時代の末期から明治時代にかけて、米づくりに一生を捧げた人です。強い稲づくりと米の増産のため、正条植えを普及し、日本に美しい田園風景をもたらしました。また、米づくりの難敵、雑草取りを克服するため、回転式中耕除草器「太一車」を開発(明治25年特許登録)、米づくり農家を重労働から解放しました。
中井太一郎のすごいところは、60歳から亡くなるまで(83歳)、全国行脚してこれらの成果を農家に指導して回ったことです。著書には米づくりの技法などをまとめた「大日本稲作要法」があります。このときの仲間・帝国農家結合が母体になって、いまのJAの前身組織ができました。まさに生涯現役です。
小鴨地区振興協議会は2010年から地域挙げて、郷土の誇りである中井太一郎の顕彰運動に乗り出し、マンガや紙芝居、創作劇などで紹介するとともに、「鳥取県を舞台に! 歴史大河ドラマを推進する会」に立候補。2019年に2度目の応募でドラマ候補として選ばれ、全国民に知ってほしい、自慢したい県人のひとりになりました。ドラマ化実現に向けて、新たな活動が始まっています。
このほか、中井太一郎ゆかりの地域おこしの成果は、地場産の米で作った五平餅「太一のき餅」が誕生したほか、市公民館祭などでは田の草取りの歌「太一車」(英訳付)を作って発表し、これをベースに「ころころ草取り物語ペープサート一座」もできました。地域の若手は「タイチグルマーズ」というバレーボールチームを作って、地域おこし運動にひと役買っています。また、「太一車」は食用増産に励むアフリカや中南米などで利用されており、JICA(国際協力機構)との交流も続いています。
冊子「太一車」をまとめた太一車研究委員会(北村隆雄委員長)は、「地域の先人を顕彰するうちに、地域が元気になりました。私たちの取り組みが、県民の参考になればと思い、活動記録をまとめました」と話しています。「太一車」はA5判108㌻、700円(税別)です。