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2019年3月10日
岩美町小田地区の給食ボランティア「小田かきつばたグループ」は3月10日、地区公民館に元高校教師で「世の中逆さが面白い」の著者、小谷博徳さん(日野町)を招いて人権講習会を開きました。小谷さんは母親の介護体験や赤の他人のみとり体験などを紹介し、自分のことより世のため人のために生きる〝逆さの生き方〟を勧めていました。
小谷さんは日野産業高校(現在・日野高校)の元教師。地元に伝わる荒神神楽を残すため郷土芸能部をつくり、やがて全国大会の常連校になりました。部活に励んだのは小・中学生のころに不登校だった子供たち。その体験を「世の中逆さが面白い」という本にしました。小谷さんはいま町議会議長、里山元気塾長、日野ボランティアネットワーク代表など公職多数。熱血人生を続けています。
この日、小谷さんは「人権とは分かっているが、ややこしい」というテーマで話しました。「人が人として生きる権利、それを侵せば人権侵害。男性が女性に声をかける。好かれていればよいが、嫌いならセクハラになる。むやみに異性に声をかけてはいけない世の中になりました」と前置き。建前が幅を利かす中で、本音と人情の大切さを説いていきました。
神楽指導の体験をもとに、「いじめられっ子や不登校、この子たちの人権は、だれが守るのでしょう。その灰色だった学校生活が神楽を練習することで一変しました。潜在能力が輝きだしたのです。みなさんは輝いていますか。伴侶選びに失敗したと反省していませんか」と問題提起するとともに、プラス思考への転換を勧めました。
母親の介護体験からは、優しくすることを学んだといいます。「下の世話は女性の聖域。おおむね長男の嫁さんが面倒を見ますが、プライドの高いお母さんは寄せつけません。紙パンツを勧めても、受けつけません。そのうち、失敗が重なります。家族はさじを投げ、お父さんが優しく接することになります。その後は『お父さんがいい』となりました」「介護にゴールはありませんが、ぬれていてもいなくても、1日最低4回、紙パンツを替えてあげることで、ストレスの少ない、寝たきりの生活をさせることができました」と。
刑期を終えて出所した身寄りのない赤の他人の身元引受人となり、みとったこともあるそうです。その人はすい臓がんで亡くなりますが、直前に病室に呼ばれ、「これで天国へ送ってほしい」と、まとまったお金を渡されたといいます。弁護士や病院などと協議し、葬儀代や医療費や寄付金に使わせていただいたそうで、みんなに感謝されながら見送ったといいます。いろいろな人生体験をもとに、小谷さんは「我欲を捨て、世のため、人のため、家族のため、自分のために生きれば、人生は開けてきます。考え方を逆さにして生きていきましょう」と強調していました。
※写真上:小谷博徳さん
写真下:岩美町小田地区の人権講演会