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2025年6月08日
鳥取で未公開の映画を自主上映し映画文化を育てていきたいと活動を続けるシネマふねいとる(代表清水増夫さん)主催の上映会が6月8日、鳥取市文化ホールでありました。今回の上映作は「くじらびと」、写真家石川梵氏2作目のドキュメンタリー映画です。
インドネシア・ラマレラ村で、伝統の捕鯨を400年間続けながら暮らす人々は互いの和を何よりも大切にし、自然の恵みに感謝の祈りを捧げ、言い伝えを守りながら生きています。ラマレラ村は火山灰に覆われ農作物は育たないため、海に糧を求めるしか生きる方法はありません。
彼らは手造りの小さな舟と銛1本で、命を懸けて巨大なマッコウクジラやマンタ、ジンベイザメに挑みます。見事にマンタに銛を刺したもの銛に繋いだロープに足を絡ませ、海に引きずれこまれた漁師。嘆き悲しむ父親、妻、子どもたちに村の人々。その様子が克明に記録されています。
マッコウクジラとの戦いは圧巻でした。銛が刺さっても逃れようと暴れるクジラ、尾びれが舟に当たれば木っ端みじんです。人に当たれば確実に死にます。人口1500人の村人は年間10頭獲れれば暮らしていける命がけの戦いです。
赤く染まる海、息絶えないクジラとの長い戦いを終えると舟に横付けにし港に向かいます。「最もクジラを恐れ、そして愛しているのは我々だ。村人全員が食べていくにはクジラを獲るしかない。クジラを殺すが感謝している。我々はともに生きている」最後の言葉です。
ライフワークとして30年間ラマレラ村の人々を追い続けてきた石川氏が2017年から19年までに撮影した映像をもとに制作され、自然とともに生きるラマレラ村の日常を、繊細かつ臨場感あふれる映像に来場者は魅了されていました。
次回上映会は「あの日のオルガン」第二次大戦末期に保母(保育士)たちが幼い園児たちとともに集団で疎開し、東京大空襲の戦火を逃れた「疎開保育園」の実話を映画化した作品です。日時:10月19日(日)10時30分、14時から 会場:鳥取市民会館大ホール