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幻の「夜見ガ浜人」を追跡して   伯耆文化研究会 会長 根平雄一郎さん

2025年5月23日

 鳥取県米子市福生西公民館で5月23日、ふれあい学級歴史講座があり、伯耆文化研究会会長 根平雄一郎さんの講演「幻の夜見ヶ浜人を追跡する」のお話がありました。
 1969年、境港市外江町の建設工事現場(現在太陽光パネルが敷設されているところ)から、後期旧石器時代2万~5万年前の女性の下左顎骨と推定される骨が出土し、早稲田大学直良信夫教授(故人)が発表、「夜見ヶ浜人」と名付けられました。その後早大から東京大学に再鑑定を依頼し、下左顎骨の所在が分からなくなっていました。
 発見当時は新聞報道等で脚光を浴びましたが、根平さんが夜見ヶ浜人を知ったのは2006年の鳥大医学部井上貴央教授の講演でした。これを機に文献調査や早大、東大の関係者への聞き取り調査を進めましたが人骨の所在は一向に分かりません。ところが昨年4月に早大考古学研究室長崎潤一教授から同研究室にあった段ボール箱に人の下顎の骨があることが分かり大きな転機となりました。
 現在、左顎の骨の年代確定を依頼中ですが、次のような理由があります。この骨が見つかった地層は9千年前未満の後氷期のものであり旧石器時代のものではありえないという説と、手に取って観察すると化石化し黒褐色、部分的に黄褐色でずっしりと重く、見つかった場所は新しいかもしれないが、それは周辺の旧石器時代の地層から洗い出されたものと解釈すべきという説です。日本は酸性土壌のため旧石器時代の人や動物の骨は出土されないということも言われています。
早大長崎教授と東大総合研究博物館海部陽介教授は3月26日から3日間鳥取県を訪れ、現地視察や境港市市史編さん室での文献調査、島根大学エスチュアリー研究センターからは周辺地域の地質についてレクチャーを受けています。
現在、放射性炭素による年代測定やDNA鑑定などが実施されます。鑑定には約2年間かかりますが、根平さんは急がずに鑑定結果を待ちたいと言われていました。
NHKは夜見ガ浜人の取材を4年以上続けており、6月3日(火)午後10時からNHK総合テレビで全国放映されます。タイトルは「幻の骨 日本人のルーツを探る」。これまでの根平さんの活動や早大、東大の動きを詳しく紹介されると思います。是非ご覧ください。
写真の説明:下左顎骨の写真は早稲田大学考古学研究室で根平氏撮影

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