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2025年2月24日
山上憶良短歌賞表彰式及び記念講演会が2月24日、倉吉交流プラザでありました。
伯耆国司であり万葉歌人である山上憶良を顕彰するため倉吉市教育委員会は鳥取県歌人会(代表押本昌幸さん)、山上憶良の会(代表福井伸一郎さん)とともに、2011年から「山上憶良短歌賞」を続けています。今回で第13回となり、応募作品数3071首、うち県内応募557首、県外応募1522首、海外1首です。家族をテーマにした同短歌賞は国内短歌賞として定着し、多くの皆さまに愛されています。
小学生の部憶良賞は桑原那菜さん、「お母さん部屋のかたづけしなさいと息するように言わないでよね。」です。講評で筆頭選者永田和宏氏は「短歌のテーマは どこにでもある。この歌は下の句の『息するように』がすばらしく、頻繁に言っているだろう母の口ぶり、作者の息づかいが聞こえてくる。また、句点「。」がついているのは珍しく、情景をよく表している」とこの歌のすばらしさを評価していました。
午後からは永田和宏短歌講演会です。演題は「歌集『ゆふすげ』の魅力」、上皇后美智子様の歌集です。永田氏は宮中歌会始詠進歌選者を永く勤め、美智子上皇后の歌を高く認めています。これまで「瀬音」等の歌集を発表されていますが、ゆふすげは未発表の歌で、主に私人としてプライベートを詠んだ歌を中心に永田氏が編集したものです。紹介された歌をいくつかあげます。「瀬音」に納められた歌を含みます。
てのひらに君のせましし桑の実のその一粒に重みのありて
三日の旅終へて還らす君を待つ庭の夕すげ傾しぐを見つつ
まなこ閉ざしひたすら楽したのし君のリンゴ食みいます音を聞きつつ
行くことの適はずありて幾度か病む母のさま問ひしこの電話
帰り得ぬ故郷を持つ人らありて何もて復興と言ふやを知らず
*第13回山上憶良短歌賞受賞作品集をご希望の方は倉吉市立図書館にお問合せください。