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月刊誌「民具マンスリー」で太一車を紹介   北村隆雄さん(倉吉市小鴨地区振興協議会太一車研究委員会委員長)

2022年3月16日

 「民具マンスリー」は日本常民文化研究所が発行する民具に関する日本で最も歴史のある月刊誌です。このたび、北村隆雄さんが執筆した「特許から見る鳥取倉吉の『千歯』から『太一車』産業への変遷」が民具マンスリー3月号に掲載されました。民俗学と経済学(特許)の視点で分析しています。
 日本常民文化研究所は、1921年、渋沢栄一の孫であり経済人の渋沢敬三により「アチックミューゼアムソサエティ」として創設されて以来、民具の収集・分類、古文書の収集・整理など、日本常民社会の多様な領域を対象としてきました。1982年に神奈川大学が招致し、現在も歴史と民俗文化の学際的共同研究所として事業を続けています。
 明治18年に始まった特許制度は「技術を独占する」ことを可能にすることより日本の産業を大きく変えました。「倉吉稲扱千歯」が他県で出願があっても倉吉の生産技術・量、品質などの優位性を維持できたのも特許制度があったからこそです。大正初めには「回転式稲扱機」が千歯にとって代わり、倉吉からも特許出願があったがうまく産業として育たなかったそうです。
 千歯扱き衰退後に小鴨村(現倉吉市小鴨)に中井太一郎が現れ、鉄歯を円筒に取り付け回転させ田の草を取る「太一車」を明治25年に特許取得し、千歯の技術と販路によって日本中に広まりました。農薬での除草が始まる昭和30年代まで全国で使われていました。
 現在でも、無農薬・減農薬栽培で需要があり国内で数社が生産・販売しており、米子市でも生産されています。海外では現地生産も行われています。
 倉吉市小鴨地区振興協議会は太一車研究会を設立し、小鴨コミュニティセンターを拠点に活動、同所で太一車の常設展示を行っているほか、北村隆雄委員長は講演活動を行っています。また、中井太一郎の顕彰運動をまとめた冊子「太一車―近代稲作の父・中井太一郎―」を刊行しています。
 *「民具」とは、長いあいだ使用されてきた道具や器物の総称で渋沢敬三によって提唱された学術用語、農具も含まれます。「常民」とは民衆をあらわす柳田國男のことばです。

北村隆雄さん

昭和30年代まで使われていた「太一車」

現在販売されている「中耕除草機」

冊子「太一車ー近代稲作の父・中井太一郎ー

民具マンスリー3月号

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