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たたら製鉄村下養成アカデミー修了   山本裕二さん

2022年3月13日

 6日間にわたる村下養成アカデミーは、3月13日にたたら操業を迎えました。和鐵研究家の山本裕二さんを講師に、これまでに、たたらの楽校・近藤家見学、専門書学習、日野川等での砂鉄観察、粘土・真砂土の学習、炭切り、たたらの部材作成(ペール缶切り抜き、粘土調合、粘土詰め等)の下準備を終え、12日の築炉作業を経ていよいよたたら操業です。
 まずは火入れです。製鉄のためには炉の温度を1300度以上に上げなければなりません。このため、炉いっぱいに炭を入れ送風機で風を送り温度を高めていきます。炎の色はオレンジ色から白、そして紫がかった色への変化していき必要な温度に達したことを知らせます。
 そして高温の炉のなかに200gの砂鉄と240gの炭を交互に何回も投入していきます。一度に多量の砂鉄を投入するのではなく、このようにミルフィール状にすることにより砂鉄の温度を一気に高温にしていきます。この日は、15㎏の砂鉄を使ったので75回この作業を繰り返したことになります。その間、先端から出る炎や下部ののぞき穴から見える炎を確認しながらと神経を使う作業です。先端の炎でも温度は700度を超え、高さも1メートル近くになるため、砂鉄を投入する作業もゴーグルで目に飛ぶ火の粉を防ぎながら手際よくかつ安全に行わなければなりません。
 しばらくこの作業を進めるとのぞき穴から炉の下にたまっているブクブクと沸騰するノロが確認できます。このノロのなかで沈んで固形になったものが鉄の原料となるケラです。漢字では鉧と書きます。数回ノロを取り出し、炭の燃焼具合を見ながら炉を解体していきます。そして最低部のペール缶を屋外に持ち出し、多量の水で冷やしてからケラを取り出します。今回のたたら操業では7.5㎏のケラができました。参加者の皆さんはケラを手に取り愛おしそうに眺めていました。
 一連の工程のなかで新たな作業を終えると参加者は屋外に集合し、山本さんからこの作業の重要性やポイント、注意点等の説明を受けます。村下の仕事を体験してもらうため、すべての参加者が作業を体験するよう配慮しながら安全性を確保する緊張した状態が続きました。
 現場の後片付けをし、生山交流ホールでまとめをしたのち修了証書の授与が行われました。山本さんお疲れさまでした。生徒のみなさんおめでとうございます。

砂鉄を投入する参加者

参加者に説明する山本さん(左から2人目)

15kgの砂鉄から7.5kgの鉧(ケラ)ができました

講師の山本さん(左から4人目)と参加者のみなさん

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