とっとりいきいきシニアバンク「生涯現役」
0857-59-6336
お問合せ お気に入り

HOME活動紹介

絵葉書にみる港湾都市境港の百年史  絵葉書収集家 佐々木邦広さん

2021年11月11日

 絵葉書収集家の佐々木邦広さんは10月に「境港 絵葉書タイムトリップ(今井出版)」を出版しました。境港は北前船の主要な寄港地ですが昭和10年の境町大火と20年の玉栄丸爆発事故で焼失したものも多く、せめて近代の境港の姿を知ることができないかと戦前の絵葉書を集め始めました。
 明治3年に始まった郵便制度は同33年に私製葉書が使用できるようになり、同37年に日露戦争が勃発すると「軍事郵便」という形で写真絵葉書が爆発的に広がったそうです。10年間で約150枚の絵葉書を収集し、また、鳥取県立博物や知人が所有する絵葉書を掲載する了解をいただき、併せて県民市民の皆さんに紹介できることを喜んでいらっしゃいます。
 佐々木さんから推薦いただいたうち3点の絵葉書を紹介します。
①「油屋のウヰルキンソン(仮名) 明治39年」
旅館「油屋」は、回漕問屋植田虎市商店の旅館部で、絵葉書は埴田旅館部からゼーシーウヰルキンソン氏宛に送られたもの。炭酸水「WILKINSON」を販売する会社を立ち上げた人です。同氏が有馬温泉付近で炭酸鉱泉を発見したことが始まりです。宿泊したお礼状をスナップ写真を使用した絵葉書に仕立てて送っています。同氏は2階の右隅の人物です。
②「(伯耆)境港内及び海岸通り(Uボート)大正8年~昭和8年頃」
 このUボート(潜水艇〇七)は第一次世界大戦後にドイツから戦利品として取得したうちの一艇で、見物人が集まっていることから境港で一般公開を行っているものではないかと推測されます。
③「境港縣社餘子神社 大正7年~昭和8年頃」
 昭和10年の大火で社殿が消失するまえの撮影で現存しない。史料としても貴重である。「縣社」とあり、旧制度の神社の社格の一つで官・国弊より格下だが、郷社より上で県から奉弊された神社と分かる。
 一枚一枚には当時の風俗や歴史を見ることができます。この度佐々木さんは個人のコレクションを中心に自費出版しました。冊子にすることにより多くの方が目にすることができ、出版の可能性と力強さを感じさせる一冊です。

佐々木邦広さん

①油屋のウヰルキンソン

②境港内及び海岸通り(Uボート)

③境港縣社餘子神社

一覧に戻る