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進駐軍家族住宅図面を読み解く   木谷清人さん

2021年5月30日

 鳥取市の樗谿グランドアパートを会場に、「進駐軍家族住宅図面を読み解く」と題して鳥取市内のDH住宅(ディペンデントハウス)をめぐるトークセッションが進駐軍家族住宅図面を読み解く会の主催で5月30日に開催されました。
 DH住宅とは戦後日本及び朝鮮に進駐した占領軍将兵の家族(扶養家族 Dependents)の住宅(house)のことで、新築及び接収をされた住宅を指します。この日の会場の樗谿グランドアパート(鳥取市指定文化財)も接収され改築された後に進駐軍が将校の宿舎として使用していました。進駐軍の宿舎として改修された建造物として、市域内に保存されている当時の様子がうかがえる唯一の建物で占領期の地域状況を知る上で重要な歴史的資料となっています。
 今回のイベントは3月下旬に鳥取県立公文書館所蔵の「県有財産関係綴」内の附属資料に市内に建築されていた進駐軍家族住宅図面が添付されていたのが発見されたことより開催されました。
 木谷さんは建築の視点から、建築工法や電気や水道の引き方を図面から読み取りこの時代の生活や進駐軍家族住宅の充実ぶりについて解説しました。また鳥取県文化財課の西村芳将さんは図面発見の意義を①占領期の進駐軍の活動範囲や生活のイメージがしやすくなったこと②県と占領軍民事部の連携がとられていたことが分かったこと③仁風閣裏の家族用住宅図面に描かれている当時の宝隆院庭園の様子が明らかとなったこと。の3点をあげ、様々な資料から当時の進駐軍の存在や接収住宅の経過を考察しました。そして鳥取市文化財課の佐々木孝文さんも樗谿グランドアパート保存会の立場から現存している樗谿アパートと今回発見された図面の共通点や相違点について指摘しました。
 この日の参加者は15名で進駐軍家族住宅図面を読み解く会の方々も参加しており、質疑応答では参加者自ら持ち込んだ資料を片手に木谷さんや西村さんに質問がありました。佐々木さんも鳥取市では江戸時代よりも戦後すぐの時代の資料が残っていないと言っていたように、まだまだ分からないことも多いですが、この発見をきっかけにさらに研究が深まることが期待されます。

木谷清人さん(中央)

会場の様子

樗谿グランドアパート

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