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大山のブナ林は西日本最大       鷲見寛幸さん

2020年12月05日

 12月5日の大山講座の自然編は大山町教育長の鷲見寛幸さんが講師です。「大山の自然と私たちの暮らし」について、あらまし次のように語り、西日本最大のブナ林がある大山の恵みを紹介しました。
 大山(1729m)は1万5千年前まで火山活動が活発でした。5万年前の大噴火では、火山灰が偏西風に乗って静岡県あたりまで飛び、降り積もったといいます。森林限界は富士山で2500mですが、大山の場合は6合目1350mあたりです。独立峰の大山は日本海からの季節風をまともに受けて、高木は育たず、東西南北で山容を変えています。独立峰のため、「ダイセン」を冠する固有の動植物が多くいて、自然の宝庫を誇っています。そして大山全体には西日本最大のブナ林が広がっています。
 その自慢のブナ林は4~5合目が中心です。中の原スキー場近くの宝珠山にある大ブナ(幹回り約5m、樹齢推定300年)が最大のものです。ブナは水分を多く含むため、家具や建築材に不向きですが、保水力に優れ、ヨーロッパなどでは「母なる森」と呼ばれています。試算によると、幹回り2m(樹齢100~150年)のブナで約8tの水を貯えるそうです。500mlのペットボトルで1万6千本。そんなブナの木が、大山にはあちこちにあります。
 大山は「緑のダム」そのものです。私たちの生命の水になり、水田を潤し、ミネラルを含んだブナの水は地下水となり、川や海に流れ込み、プランクトンを育て、魚介類を育てています。「大山さん」に感謝です。
 大山には食べておいしい山野草、食べて体に良い薬草が多くあります。薬草では、胃を丈夫にするタンポポ、ヨモギ、リンドウ▽下痢止めならゲンノショウコ▽脳血栓予防にツユクサ▽高血圧予防にドクダミ、ワラビ▽糖尿病ならタラノキ、カキドオシ、ヒルガオ―など。これらも大山の恵みです。
 近年、大山でナラ枯れが増えてきました。併せて猛毒のカエンタケ(火炎茸)も増えています。江戸時代の書物には、カエンタケはナラ枯れとともにやってくるとあります。なぜ、いまか。かつてナメコは倒木にびっしり生えていたものです。ところが、最近の生え方はまばらになりました。キノコは木を土に返します。キノコが少なくなると、森が育っていないことを暗示しています。山の木を使わくなったことや地球温暖化などが原因かもしれません。
 私たちの大山が気がかりです。大山に関心を寄せましょう。大山の素晴らしい自然を未来に続けていくために、私たちは私たちのできることをやっていきましょう。

鷲見寛幸さん

大山・中の原スキー場近くにある大ブナ

大山・宝珠山のブナ林

ブナ林の分布

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