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お薬師さんが守る皆生温泉   安部朱美さん

2020年10月21日

 海に湯がわく米子の皆生―。皆生温泉ができて今年で100年。これを記念して米子市観光センターで、「安部朱美創作人形・淀江傘コラボ展 温もりの日々」が開かれています。皆生温泉旅館組合(柴野清組合長)がコロナに負けず、次の100年に踏み出すために開いたものです。同展は11月29日まで。
 安部朱美さんは米子市在住の創作人形作家です。昭和を題材にした家族や子供たちを表情豊かに表現するのが得意で、全国に多くのファンがいます。今回は来年200年を迎える米子市無形文化財・淀江傘との連携開催です。
 会場には昭和の暮らしをテーマにした人形300体と淀江傘50本が並び、和傘がより人形の懐かしさを引き立てて、情緒豊かな風景が広がっています。
 安部さんは同展のために「皆生を守る薬師さま 薬師さまを守る皆生の人々」という新作を製作し、展示しました。お薬師さまは難破船から皆生の海岸に流れついたとされる薬師如来です。皆生温泉は海が荒れるたびに、泉源が被害を受けてきましたが、お薬師さんをまつることで平安を守ってきたと伝えられています。
 安部さんの作品づくりのスタイルは、風景や背景にあるストーリーを考えながら作り上げていくそうで、今回も皆生温泉の歴史を取材し、ストーリーを思い浮かべながら人形たちを作っていったといいます。
 日野川からの大量の土砂が海を埋め、浅瀬となったところで温泉が湧き出したのが皆生温泉の始まりと言われています。海辺には公衆浴場や旅館が開業したものの、海が荒れるたびに被害を受け、経営はうまくいきませんでした。そんななかで有本松太郎さんが温泉開発とまちづくりに乗り出しました。大正9年(1920年)でした。有本さんは陸地にも泉源を確保し、土地を買収し、米子駅からの交通も開発し、皆生温泉のまちづくりを進めていきました。
 安部さんは言います。「お薬師さんは皆生温泉がうまくいかなかったときも、にぎわったときも、その歴史を見守ってきました。皆生の人たちも、いろいろなことを乗り越えて100年を迎えたのだと思います。今回の作品は先人への感謝の思いを込めて創りました」と。皆生温泉の歴史を感じながら、人形たちと会話したいものです。
 淀江傘は1821年に倉吉から淀江に来た倉吉屋周蔵が傘屋を開いたのが始まりといわれます。大正時代には71軒の製造業者があり、年間17万本作ったと伝えられています。昭和59年には洋傘に押されて姿を消しましたが、「淀江傘伝承の会」のみなさんの手作りで見事復活し、大山献灯会などのイベントや子どもたちのものづくりなどで活躍しています。

安部朱美さん

「皆生を守る薬師さま 薬師さまを守る皆生の人々」

淀江傘とのコラボ

くらしにみる昭和の時代鳥取展 安部朱美さんの作品が展示されています。

くらしにみる昭和の時代鳥取展 安部朱美さんの作品が展示されています。

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