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「大山さん」のおかげです        鷲見寛幸さん

2019年12月14日

 大山開山1300年祭にちなんで、3年間にわたって続いた大山講座(実行委員会・新日本海新聞社主催、鳥取県社会福祉協議会共催)が終わりました。その最終講座が12月14日、米子市の新日本海新聞社西部本社であり、大山町教育長の鷲見寛幸さんが「大山の自然と恵み」、境港歴史研究会代表の根平雄一郎さんが「ナナカマドの実は赤かった~わたしの大山史考」について話しました。
 大山講座は1300年祭〝プレ年〟の2017年1月から始まりました。語り部づくりを目的に大山の自然・歴史・文化・遊び・食などをテーマに毎年5講座、計15回開かれました。最終講座は次の1400年祭へ向けて、おさらいのために開かれたものです。それぞれ100人余りが聴講しました。最終講座をレポートします。
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 鷲見さんは独立峰・大山(1,729m)が見る位置によって姿かたちを変えることから説きました。西から見れば広々とすそ野を広げる「伯耆富士」や「出雲富士」になり、北や南はごつごつとした岩肌がそそり立ちます。北は日本海からの季節風、南は屋根をも飛ばす春一番が、氷水が染み込んだもろい安山岩をボロボロにします。山頂・剣ヶ峰までの縦走路も歩く幅がなくなり、通行禁止になってしまいました。もひとり神事が行われる第2峰・弥山(1709m)が頂上代わりになっています。
 鷲見さんによると、日の出の時間は影大山が楽しめるといいます。夏は山頂のシルエットが100kmも離れた三瓶山まで届き、春や秋は米子市街地が影で覆われるそうです。そのシーンが志賀直哉の「暗夜行路」にも登場します。中国一の独立峰のおかげか、山陰は台風の直撃からしばしば守られてきた、そんな気がします。
 大山は100万年ほど前から噴火を繰り返してきました。最後の噴火は約1万7千年前。約5万年前の大噴火の時は、火山灰が新潟や静岡にも降り積もりました。大山山麓では地味豊かなクロボク(黒土)農業が行われています。
 大山は西日本最大のブナ林が自慢です。大山寺付近から6合目にかけて広がっています。水を含んでいるため、家具や材木には不向きですが、周囲2mのブナで年間約8tの保水力があるそうです。500mlのペットボトルなら1万6千本。そんなブナが何千本、何万本もあり、山麓の農地や米子・境港市民の水になっています。ミネラルも多く、海の生き物を育んでいます。大山町では素潜り漁が盛んです。
 大山は神宿る山として、長く入山を遠ざけてきました。生物や昆虫や野鳥の宝庫で、ダイセンの名を冠する珍しい動植物も多くいます。山頂近くには日本最大規模のキャラボク群落があり、1936年に日本海側で最初の国立公園になりました。その山頂などで近年、ヒメボタルが確認されました。フラッシュのような黄色い光を発します。7月20日ごろが見頃といいます。鷲見さんは謎の多いヒメボタルの生態を追っています。

鷲見寛幸さん

大山北壁

南大山

大山(西側)

影大山

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