とっとりいきいきシニアバンク「生涯現役」
0857-59-6336
お問合せ お気に入り

HOME活動紹介

因幡の豪族・伊福部氏の末裔         吉田幹男さん

2019年11月30日

 鳥取県経済同友会(米原正明代表幹事)は11月30日、鳥取市の県民ふれあい会館で「緊急地震速報と伊福部昭の音楽」をテーマにフォーラムを開き、因幡の古代豪族・伊福部氏の末裔たちが、あの「ジャジャジャン」というゴジラ映画やNHKの「ジャランジャラン」の緊急地震速報をつくったことなどを紹介しました。
 フォーラムは同友会の地域学委員会(吉田幹男委員長)が企画したもので、「地域をよくするには、まず地域をよく知ることから」と、因幡万葉歴史館創立25年に合わせて古代因幡を支配した豪族・伊福部氏にスポットを当てました。
 系図によると、伊福部氏は大己貴命(大国主命)がルーツで、第20代が伊福部臣の始祖になり、第26代が郡の長官に任じられ、第36代が因幡一ノ宮・宇倍神社の神主になったといいます。明治初めまで宇倍神社を管理し、北海道に移住しました。現在68代目です。
 一説によると、伊福部一族は金属精錬などができる渡来人だったといいます。7~8世紀が絶頂期で、銅鉱などを朝廷に献上したり、娘の徳足比売が文武天皇に采女として仕えたりしています。彩色壁画で知られる梶山古墳は一族の陵墓という見方があります。大伴家持が因幡国守になったのは8世紀半ば。万葉集編集のかたわら、国造家・伊福部氏と因幡国の経営をしていたのでしょう。
 67代目の伊福部昭さん(1914~2006年)は、日本を代表する作曲家です。独学で作曲家になり、東京音楽大学の学長を務めました。「優れた音楽は民族の特殊性を通過して初めて共通の人間性に到達する」が信条で、「シンフォニアタプカーラ(アイヌの立ち踊り)」や「ゴジラ音楽」などの代表曲をつくりました。とくに映画音楽は「日本誕生」「ヒロシマ」「ビルマの竪琴」など約300本残しました。
 伊福部昭さんは因幡万葉歴史館竣工(1994年10月)に際し、家持ゆかりの和歌5首に曲をつけ、「因幡万葉の歌」として残しています。一族発祥の地への感謝でしょう。フォーラムでは岩美町の音楽デュオ「ポンカン」が美しい歌声とオカリナで演奏し、奥深い万葉音楽の世界を広げました。
 フォーラムには現当主、68代目の伊福部達さん(工学博士、東京大学名誉教授)が招かれ、NHKの緊急地震速報がなぜ耳に残るかを解説しました。それによると、叔父・昭さんの「シンフォニアタプカーラ」第3楽章をヒントに、「急げ、でもあわてるな」というメッセージを込めて作ったといいます。NHKの調べで、このチャイムを聞いたイヌやネコが素早く家から逃げ出したことも分かったそうです。
 「人間だけでなく、動物の脳の深部に訴える普遍的な音があることに気づいた」伊福部達さんは、潜在能力を生かす高齢社会システムづくりに挑戦しています。

吉田幹男さん

「因幡万葉の歌」を披露するポンカンの2人

因幡万葉歴史館の開館を祝う伊福部昭さん(右、吉田幹男さん提供))

伊福部歴代当主の墓地(宇倍神社裏)

面影山の北、大杭村にも一宮国造屋敷があった(江戸寛文時代の古地図から、国交省鳥取事務所蔵)

一覧に戻る