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鉄づくりを科学しよう        伯耆国たたら顕彰会

2019年11月03日

 たたらの里・奥日野の「ふいご祭り」が11月3日、日野町の役場前広場であり、およそ200人がミニたたら操業や鍛冶屋体験、県史跡「都合山たたら」講座などを楽しみました。新たに「鉄づくりを科学する」子どもワークショップも始まり、たたらの顕彰活動が広がりを見せてきました。
 奥日野のたたら製鉄は大正時代に姿を消しましたが、それまでは旧暦の11月8日に鞴(ふいご)祭りが盛大に行われていました。鍛冶屋、刀工、鋳物師など鉄にかかわる人たちのお祭りです。鉄の精錬や加工に欠かせない送風機・ふいごに感謝しました。かつての奥日野は住民の3人に1人が米や木炭の供給、鉄の運搬など、何らかの形でたたら製鉄に携わっており、地域社会は鉄づくりの盛衰ととも浮き沈みしてきました。
 「ふいご祭り」は奥日野たたらの里づくりプロジェクト実行委員会(委員長・田貝英雄伯耆国たたら顕彰会長)が取り組んでいるものです。今年で6年になりました。小説「TATARA」の発行、地元や米子市などでのミニたたら操業の実演、たたら古道ウオーク、日本刀の始祖とされる伯耆安綱の伝承の地めぐりなど多彩な啓発事業を展開中です。このほど日野・日南町境の「都合山たたら跡」が鳥取県初のたたら史跡になり、その保存・活用策として10月19日にはボランティアで小さなキャビン(小屋)も建設しました。
 さらに新たに始めたのが「鉄づくりを科学する」子どもワークショップです。人類の進歩に火や鉄の発見が果たした役割、かつての日本の鉄づくりがたたら製鉄に頼ったこと、鉄のおかげで日本の近代化が進んだこと、鉄の惑星・地球と未来の予測などを冊子(A4判16㌻)にまとめ、年内には日野郡内の学校や図書館、希望者に配布することにしています。
 ワークショップはその体験の場です。「ふいご祭り」に参加した親子は、石を使って大根やネギ切りに挑戦して鉄がなかった時代を体験したり、火起こしを体験したり、ロウソクの原理を学んだりしました。今後のワークショップは炭づくりや砂鉄集め、たたら操業体験、暮らしの場での鉄利用調査、現代のエネルギーや電子技術の勉強などを予定しています。
 ワークショップを担当する杉原幹雄さんは「地球は鉄の惑星。体中に酸素が運ばれるのは血液に含まれる鉄分のおかげ。これらの体験が子どもたちにとって、科学や歴史への興味につながり、親子が一緒になって身近な暮らしを科学するキッカケになれば・・・」と、期待しています。

杉原幹雄さん

石やカネや包丁を使って切れ味を確かめる

火起こしもなかなか大変

都合山に整備したキャビン

たたら「科学の旅」の表紙

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