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わしゃあ、負けんぞぅ!       平家六栄さん

2019年8月06日

 広島「原爆の日」の8月6日、鳥取市の養源寺(山名立洋住職)で、平家六栄(むつたか)さんによる紙芝居「はだしのゲン」があり、参加した市民は改めて原爆の悲惨さを学び、非戦の思いを強くしました。
 平家さんは鳥取市民劇場創設のメンバーで、若いころから朗読に親しんできました。80歳を超えた今でも、わらべ館などで紙芝居のボランティアをしています。
 山名住職は「お寺は昔から芸能、文化、盆踊りの発祥地。だれもが気軽に立ち寄り、楽しむところ」がモットーで、しばしば人形劇やコンサートなどを開いています。「最近は面白いこと、楽しいことしか見たがらないし、聞きたがらない。そんな風潮が気になっている」そうで、先日は自らもパネラーとなって、オウム真理教をテーマに「カルトは不滅か」のトークライブをやったばかりです。今回は古くからの知人、平家さんに頼んで紙芝居「はだしのゲン」を上演してもらいました。
 「はだしのゲン」は中沢啓治さん(故人)原作。自らの広島での被爆体験をもとにした漫画で、戦中戦後の〝生き地獄〟のような時代を必死に生き抜いた主人公中岡ゲンを描いています。週刊少年ジャンプに連載され、単行本(10巻)になっています。
 国内外で反響が大きく、実写・アニメ映画やテレビドラマ、絵本などになり、漫画は20を超す多言語に翻訳され、世界中に紹介されています。一時、過激な表現や刺激的な描写などが問題になり、図書館などで見られなくなる騒ぎもありました。
紙芝居は全5巻に短縮されていますが、それでも全部見るのに90分かかります。効果音が入って放送劇のように工夫され、平家さんはテープや画面を入れ替える作業でしたが、客席の雰囲気を見ながらの進行ぶりでした。第3巻で広島に原爆が投下されます。昭和20年8月6日午前8時15分。
 広島市のホームページによると、原爆は地上約600mの上空で閃光を放ってさく裂し、灼熱の火球をつくり、その中心温度は摂氏100万度を超え、1秒後には最大直径280mの大きさになり、地表温度は3,000~4,000度に達したといいます。爆発の瞬間、強烈な熱戦と放射線が四方へ放射され、空気が膨張して超高圧の爆風となり、大きな被害をもたらしました。そして放射能障害が人々を長期にわたって苦しめました。被爆74年の今年、原爆死没者は31万9186人になったといいます。
 その後のゲンたちは被爆孤児の差別を受けながら、必死に生き抜きます。生まれたばかりの妹のためにミルク代を稼ぎますが、間に合わず、母親に抱かれたまま妹は逝ってしまいます。〝生き地獄〟が連続しますが、父親の遺言を思い起こします。「麦になれ。踏まれても踏まれても芽を出す麦になれ」。「わしゃあ、負けんぞぅ!」とゲン。客席から大きな拍手が起こりました。

平家六栄さん

広島の空に火球が上がり、灼熱地獄が広がる

紙芝居があった養源寺の檀徒会館

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