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戻ってきた湿原の植物たち      矢田貝繁明さん

2019年6月22日

 南大山・鏡ヶ成湿原の再生を進める大山隠岐国立公園鏡ヶ成保全再生活用協議会は6月22日、初の自然観察会を開き、30人が参加しました。大山自然歴史館の矢田貝繁明館長の案内で湿原をめぐり、ボランティア活動によって保全再生が成果を挙げつつあることを学びました。
 江府町にある鏡ヶ成は烏ケ山・象山・擬宝珠山に囲まれた盆地状の高原です。春は新緑、夏はキャンプや森林浴、秋は紅葉、冬はスキー・スノーボードが楽しめるところで、一帯は国民休暇村(約130ha)になっています。その拠点が宿泊施設「休暇村奥大山」です。
 この高原は烏ケ山や象山の雨水が集まり、貴重な山地湿原だったそうですが、戦前は軍馬の養成で乾地化が進み、戦後は農業や生活の変化で牧草やカヤなどが使われなくなって草原化、湿原エリアが縮小しました。いま湿原が残っているのは「休暇村奥大山」本館裏の周辺です。
 「手を加えないのが自然保護」という考えのもと、湿原の保全活動は細々としたものでしたが、3年ほど前からササやツゲなどを草刈りし、土のうで地下水位を上げ、木道を整備し、湿原植物の自然再生を目的に野焼きなどを続けてきました。2019年春には環境省、鳥取県、江府町、鳥取大学、休暇村協会、サントリーホールディングスなど産官学の10団体で鏡ヶ成保全再生活用協議会も発足し、協働で保全再生に乗り出しました。そのかいあって、木道のそばでバイケイソウやトモエソウなどの湿原植物が復活してきました。
 自然観察会はあいにくの小雨でしたが、矢田貝館長は30分で巡れるコースを90分以上かけて熱心にガイドしました。湿原植物の説明はもちろんですが、鏡ヶ成であった第8回国立公園大会(1966年)で「自然保護憲章」が制定されたことや、モリアオガエルとイモリの話、チシマザサの新芽で笛づくりの実演、湿原の茂みで見られるカッコーの托卵など、多彩な解説で参加者を喜ばせました。
 矢田貝さんは「手をかければ、自然はちゃんとこたえてくれます」と、湿原保全ボランティアへの参加を呼びかけていました。

矢田貝繁明さん

鏡ヶ成湿原を巡るみなさん

「自然保護憲章発祥の地」の記念碑(元鳥取県知事・西尾邑次書)

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