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平成のふいご祭り         伯耆国たたら顕彰会、梅林敏彦さん

2018年11月04日

 奥日野たたら製鉄体験イベント・平成のふいご祭り(奥日野たたらの里づくりプロジェクト実行委員会など主催)が11月4日、日野町役場前であり、鉄づくりやナイフづくり、俳句づくりなどでにぎわいました。およそ200人が参加しました。
 鞴(ふいご)祭りは旧暦の11月8日にあり(今なら12月中旬)、鍛冶屋、刀工、鋳物師など鉄にかかわる人たちのお祭りです。鞴は鉄の精錬や加工に欠かせない送風機のことで、その大型のものを踏鞴(たたら)と呼びました。祭りは鞴の労をねぎらって、火の安全と商売繁盛を願って行われたもので、たたら場で働く人たちはごちそうを食べて英気を養いました。
 奥日野のたたら製鉄は大正時代に姿を消しましたが、伯耆国たたら顕彰会の調べでは、たたら場の遺構が日南・日野町だけで320カ所ほど確認されており、奥日野住民の3人に1人はたたら製鉄にかかわって暮らしていたそうですから、往時の鞴祭りは盛大なものだったことでしょう。
 その鞴祭りが復活して5年。たたら文化の里づくりが目標ですから、平成の鞴祭りは休息型ではなく操業型です。今回は金持神社の獅子舞でオープニング。恒例のミニたたら操業があり、日野町の﨏田淳一町長を先頭に参加者が次々と砂鉄を投入し、鉄づくりを体験しました。また、地元の鍛治工房宮光(宮脇光男代表)の指導でペーパーナイフづくりや鉄鍋などの展示即売もありました。現代人は鉄分不足が多いと言われているだけに、「鍛造鉄鍋で鉄分とって健康に」という呼びかけに人の輪ができていました。
 たたら講座もありました。奥日野の鉄山師・近藤家住宅が県の保護文化財に認定され、その保存・活用方法が注目されていますが、米子高専の金澤雄記准教授が近藤家住宅の価値や見どころなどを解説しました。また、日野郡内など県西部のたたら場遺構545カ所を10年かけて踏査した藤原洋一さんが調査結果を報告しました。会場では郷土料理の「じゃぶ汁」が振る舞われ、「よばりょういな」と列ができていました。
 鞴祭りに合わせて「第10回ひの俳句大会」もあり、米子市などから30人が集まり、祭りに参加するとともに、築200年の古民家・沙々樹、日野町出身の文人・生田長江の碑がある延暦寺などを吟行しました。遠藤甫人さん(県俳句協会長)と大谷正子さんが選句し、それぞれ「火色見る厳しき眼鞴祭り」(大下秀子さん・米子市)、「奉納の俳句を仰ぐ菊日和」(中曾美沙子さん・米子市)を特選1席に選びました。
 俳句大会を続けている梅林敏彦さんは「小さな日野町ですが、かつては句会が4つもあり、町内あちこちの社寺には奉納俳句が掲示されています」と、奥日野の文化風土を紹介していました。

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