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明治維新の魁は薩長因備        森本良和さん

2017年10月15日

 平成30年は明治維新150年。そのプレイベント「西郷どんと鳥取藩」がNHK大河ドラマ「西郷どん」の時代考証を務める原口泉さん(鹿児島県立図書館長、志學館大教授)を講師に迎えて鳥取県立図書館であり、映画監督の森本良和さんとともに鳥羽伏見の戦いで官軍勝利をもたらした鳥取藩の活躍を明らかにしました。鳥取市歴史振興会主催、鳥取県社会福祉協議会・鳥取いいきいきシニアバンク「生涯現役」共催。
 原口さんは薩摩藩の歴史研究者。「龍馬を超えた男小松帯刀」などの著書があり、これまで「翔ぶが如く」「琉球の風」「篤姫」「あさが来た」などNHKの大河・朝ドラの時代考証も務めています。
 講演のなかで原口さんは、大河ドラマの見方について「映画は監督、演劇は役者、テレビは脚本がすべてだが、人それぞれ自ら原作・脚本を書き、役者を演じて生きている。一人ひとりが違うドラマ。そのドラマづくりに役立つのが歴史学。大河ドラマはお茶の間のハラハラドキドキを狙っている。歴史を勉強するならEテレ、BSなどの特番がお勧め」と解説。ちなみに「西郷どん」は地域経済への波及効果328億円が見込まれていると紹介していました。
 また、「明治政府は農工併進の国づくりをすべきところを松方デフレ(明治17年)で農業を犠牲にした資本主義の道を選んだ。明治維新150年のいまこそ、農本主義や伝統産業を活かした地に足がついた地方振興が問われている。西郷どんからそう感じていただければ、ありがたい」と話していました。
 森本良和さん(元鳥取県立図書館長)は幕末の鳥取藩の動きを監督として映画化しており、これまでに「鳥取勤王二十二士事件」など8本を自主制作。県内各地で「維新の魁~鳥取藩飛翔」を上映しています。
 プレイベントでは原口さんと森本さんの対談もあり、このなかで西郷隆盛が鳥取藩家老の動向を探るために岡山藩家老に差しだした手紙の存在が明らかにされました。この手紙はこのほど鳥取歴史博物館が入手し、近く展示されるそうで、大河ドラマ「西郷どん」とともに注目を集めそうです。
 その手紙は鳥羽伏見の戦いの直前に出されたもので、「(鳥取藩家老の)荒尾は真に王事に尽くす者でしょうか」と探っています。結果は岡山藩が大津、鳥取藩は山崎でそれぞれ戦い、官軍勝利をもたらしたといいます。原口さんによると、将軍徳川慶喜の兄弟である因備が戊辰戦争の緒戦で新政府に味方した意味は大きい、新政府軍は西国へ戦力をそぐことなく関東へ進軍できたとしています。
 森本さんも鳥羽伏見の戦いの5年前、1863年(文久3年)にあった河田佐久馬(山国隊長、鳥取県権令)らによる京都・本圀寺二十二士事件は天誅組の乱との連係プレーだったのではと自説を紹介し、「明治維新は薩長土肥ではなく、薩長因備が原動力だった」と力説していました。
 鳥取歴史振興会は平成30年4月に原口さんと西郷隆夫さん(西郷隆盛のひ孫)を招いて薩長因備シンポジウム、9月には京都から官軍・山国隊を鳥取城に招いて鳥取藩が活躍した明治維新150年に光を当てることにしています。

 ※写真上:森本良和さん
  写真下:西郷どんの書状を解説する原口館長(右)、左端が森本監督

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