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大河ドラマは外交官兄弟、澤田節蔵・廉三と美喜の「三愛のクニへ」 朝ドラは碧川かたの生涯を描いた「赤とんぼの母」に

2017年9月10日

 鳥取県の郷土史家やドラマファンなどによる「鳥取県を舞台に! 歴史大河ドラマを推進する会」の候補選考会が鳥取市の県立図書館であり、歴史大河ドラマ候補には岩美町出身の外交官、澤田節蔵・廉三兄弟の活躍と混血孤児救済に立ち上がった美喜夫人の物語「三愛のクニへ」、朝ドラ候補には童謡「赤とんぼ」の作者・三木露風の母親で、婦人参政権運動などに取り組んだ碧川かたの生涯を描く「赤とんぼの母」をそれぞれ選びました。推進する会はポスターなどを作成して県民にPRするとともに、NHKや民放局にドラマ化実現を働きかけることにしています。鳥取県社会福祉協議会・とっとりいきいきシニアバンク「生涯現役」共催事業。
 選考会は①鳥取市鹿野町を拠点に地域開発をした亀井琉球守茲矩の「流沙川の彼方へ」(発表・原田堅吉さん)②鳥取・姫路・岡山をつないだ姫君たちの「女性たちの池田家三代」(田中精夫さん)③倉吉からの再出発「天下一の大商人・淀屋」(田村幹夫さん)④碧川かたの生涯「赤とんぼの母」(四井幸子さん)⑤澤田節蔵・廉三と美喜「三愛のクニへ」(片山長生さん)―の5つのテーマについて、それぞれ先人の功績や物語、ドラマ化の意義などを解説しました(発表者は全員シニアバンク登録者)。審査は参加者78人の投票で決め、「三愛のクニへ」が最多の33票を獲得、次点は「赤とんぼの母」でした。
 「三愛のクニへ」は岩美町出身の外交官、澤田節蔵・廉三兄弟を軸にした物語。第1次世界大戦の悲劇を繰り返さないために「国際連盟」が1920年に発足したのに、なぜ第2次世界大戦が起こったのか。間もなく迎える国連100年の節目に、「戦争の20世紀」を考えようというのがテーマ。節蔵は国際連盟帝国事務局長として反ファシズムで日本の国連脱退に抵抗するものの、無念の失脚。廉三は敗戦日本の国際連合復帰(1956年)の立役者で初代国連大使。美喜夫人は占領軍(GHQ)の抵抗のなかでエリザベス・サンダース・ホームをつくり、混血孤児救済を進めるなど、廉三が提唱した三愛(母子愛・祖国愛・人類愛)を実践していきます。
 「赤とんぼの母」は三木露風の母親・碧川かたの生涯を描いた物語。鳥取藩の家老の家に生まれたかたは、たつの市に嫁ぎ、露風など2人の男の子を授かったものの離縁させられます。東京で看護婦として自立し、新聞記者と再婚。初老に差しかかるころから禁酒運動や婦人参政権運動、狂犬病撲滅運動など女性の地位向上や社会問題に取り組み、活躍します。一方、露風は母を待つ毎日。中学生の頃には童謡「赤とんぼ」の原体験ともいわれる「われ七つ因幡に去(い)ぬの おん母を またかえりくる母と思いし」という歌を残しています。かたは90歳でなくなり、このとき露風73歳。その通夜で親子は70年ぶりに添い寝したといいます。
 2つの候補作品について、推進する会はポスターやチラシなどを作成して、県内すべての公民館などに配布し、県民に先人の活躍を紹介するとともに、テレビドラマを制作するNHKや民放局に資料を届けて放送実現を働きかけることにしています。郷土史研究家の小山富見男さんは「それぞれの発表者はテーマや人物を丹念に調べ、現地を訪ね、発表された。まさに生涯現役。見事でした」と高く評価していました。
 片山さんは「日本周辺はいま緊張感が高まっており、『三愛のクニへ』が選ばれたのは、歴史に学ぼうという県民意識の表れだと思います。放映が実現すれば、山陰ジオパークはフィーバー間違いなしです」、四井さんは「たつの市には三木露風の記念館があり、かたサロンもあります。連携して朝ドラが実現するようがんばります」。それぞれ選定を喜び、熱く抱負を語っていました。

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